田舎ぐらしのリアリティ (13) 往時を語る

午後から結構な雨。農業的にはある程度必要だろうし、そうでなくても水不足などなっては困るので、ほどほどには降らんとね。さすがに四国や九州北部みたいな渇水あるあるエリアではないだろうけど、水が大事なのは一緒。
なわけで連休岐阜帰省の旅、ラストにまた電車ネタを。

美濃にはうだつの他にもうひとつ気になるスポットがあった。古い町を離れ、少し歩いたところへ。

駅だ。といっても残念ながら現役ではない。「旧」名鉄美濃駅。廃止になった後で初めて存在を知ることもよくある話。

本来の機能を失った今でも、駅舎やホーム等は登録有形文化財として大事に保存されている。

ホームへの出入口には、最末期のものと思われる時刻表も。発車は1時間に1本程度。まあそんなもんか。

シンプルながらもこだわりを感じる上屋の組み方。そして線路上には車両3本が保存されている。1番線ホームの片隅には、運転台のみの切り身も少々。

きっと最盛期には臨時改札も使われたのだろう。モータリゼーションの波に抗えなかった典型例か。

展示車両は3両とも車内に入ることができた。大半は椅子が取り払われており、ちょっと寂しい雰囲気。

廃止まで使われていたモ601。70年代に寂れつつあった路面界に珍しく新車という理由でローレル賞をもらった、てのも皮肉なもので。

前面形状の丸さがこの場では異彩を放つ、なんと大正生まれのモ512。

扉横の窓も楕円形。ほぼ同世代にあたる、別所線の丸窓電車を彷彿とさせる。

もっとも運行当時を偲ばせる手がかりを残していたのが、モ593。

昔の名鉄に赤くない車両がいたとは意外だが、路面区間の標準色はコレだったらしい。

こちらも廃止まで現役だっただけあって、他2両と比較すると現代的。押しボタンの形状には昭和を感じるが。

駅舎と反対側の運転台脇に立ってみると、ちょうど線路の延長線上に道路が見えた。かつてはあちらまで軌道が続いていて、関へと向かっていたのだろう。

この美濃町線と同時に、名鉄は岐阜市内線も廃止している。そのおかげで福井鉄道に車齢の浅い車両が行って今も活躍しているわけだが、経営合理化のためとはいえ大規模な廃止は寂しいものだ。

もし今も彼らが走り続けていたら、この町の表情は違ったものになっていただろうか。
と、そんなこんなで寄り道放題の帰省は終了。雪が降ったら行けないから、次は秋頃になるかな。

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