神在月の陰陽路 (23) 聳える歴史
22 Nov 2013
人の運転の上手下手を言えるほどの腕前はないのだが、すぐ前の車が明らかに自分より駄目そうな感じだと残念な気分になることには変わりない。他人の振り観て、ですかね。
まあそれはさておき、秋旅4日目はまだまだ出雲から。
うわ。なんか手前が完全にただの駐車場と化しているが、それは観なかった事にして奥の建物の威容に目を見張る。
随分前に廃止された、大社線の大社駅。JR として使われたのはほんの数年なので、実質的には国鉄の廃駅と言っても差し支えなさそう。それにしてもおそろしく見事な屋根である。さすが重要文化財。
ありがたいことに、かつて一般人が立ち入れたエリアは全部見学できるようになっている。では中に入ってみましょう。
ここでまた言葉を失う。いやいやこれ本当に駅ですか。風格ありすぎ。
コンコースを抜けてホームに出てみる。
精算所という至って事務的なものですら、なにか絵になる。
きっと往時は大勢の参拝客が使っていたであろう改札。
それでも捌ききれなかったのか、駅舎の南側にはもっと新しい改札が大量に増設されていた。「新しい」とはいえ、有人改札が大前提のまま終焉を迎えた辺りはやっぱり隔世の感。
保存されていたのは駅舎だけではなかった。
若干朽ち果てつつある「名無し」の D51。
この線路が出雲市までつながっていたことになる。これがあれば JR で来れたと言えなくもないが、でも大社の最寄り駅と言い張るにはちょっと遠いんですよねー。ばたでんなら徒歩5分くらいで着くし、あちらが残ったのはある意味自明か。
構内踏切の足元をふと観たら、うさぎと穂。さりげないご当地の主張。
よく観たらホーム上屋がトタン製だったり、駅名標がライト内蔵タイプだったり。ある程度「現代」まで使われていたことの証。
ここもまた、しばらくすると他の見学者がちらほら増えてきた。
旅人の姿があると、駅はなんだか息を吹き返したかのようにも見える。もしかしたら窓口に誰かいるんじゃないか、みたいな。
そっと中を覗きこみ、忙しくしていたであろう頃に思いを馳せてみる。
それにつけても、単なる窓口ですらこの重厚な装飾。今でも大社さんが神社として別格なのは言うまでもないが、当駅建築が戦前であることを思えば気合の入り方にも納得するというもので。
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