特急は時代の鏡 (1) 階段昇る座席

クローゼットや引き出しに仕込んでいる湿気とりをお取り替え。に伴って新しいのを買いに行ったところ、なぜかどこも品切れか品薄。在庫切らしてる店はセール価格の痕跡があり、直前に売り切ってしまったのかも。日用品の買い時は難しい。
さて今回は9月初頭の乗り鉄話。

近鉄沿線に繰り出すたび、当家の中で繰り返されてきた言葉があった。「いつまでもあると思うなビスタカー」。
長いこと走り続けているベテラン車両は各社に存在する中、近鉄では汎用特急と並ぶ古参車両。とりあえず今は元気に走っているが、経年を考えるといついなくなっても不思議はない。そこで思い切って、ビスタカーを中心に据えた1日を作ってみた。

ちょうどお昼頃。難波の駅ナカで食料を調達し、指定席を押さえておいた賢島ゆきのホームへ。なぜ昼かというと、ウェブ予約システムでビスタカー確定列車がこのくらいしかなかったからである。狙って乗ろうとするとレアなのよ。

先頭にご挨拶を済ませたら、当車両最大の売りである2階建て車両へ移動。側面にあしらわれた V の字が、近年の塗装でありながらも昭和の風格を漂わせる。

構造上、乗り降りは中央の1箇所のみ。

いうまでもなく、わざわざ指名買いするくらいなので、確保したのは2階席。ではさっそく行ってみよー。

最初に目を引くのが出入口付近の構造。点対称に配された階段、丸みを帯びた窓や照明の独特な雰囲気。

さりげなく飾られているスペイン村のキャラ。

1階席は両脇にコンパートメントが1室ずつ。見るからにファミリー向けのまとめ売り枠なので、少人数の我々は見物だけ。

では改めて2階席のある客室を鑑賞しよう。

階段からも見えていた個性的な形状の妻面窓は、最前列の圧迫感を少しでも和らげるためだろう。そして、2階にしては天井が高い。たぶん比較対象が東のグリーン車。そりゃ通勤車に見劣りしたらいかんと思うのよ。

椅子はリニューアルで大幅に近代化されており、座り心地に古さはない。あ、この柄ね。背中のとこに隠し文字が仕込んであるやつ。

座ってしまえば乗り心地にはさほど遜色ない。

発車早々に弁当を開け、柿の葉寿司がおいしいゐざさの手まり寿司に舌鼓を打つ。

ここ数年地味に何度も通っているルートなので、車窓も見慣れてきた。そういえば、隣車両は平屋。つなぎ目はどうなっているのだろう。トイレついでに見に行ってみよう。

うお。ドア開けたら渡り板越しに階段とは、なかなかのダイナミックな眺めで。固定編成でなければできない豪快な構造。

こうして、楽しい1時間半の旅はあっという間。

賢島まで行くと帰ってくるのが大変なんで、伊勢中川でお乗り換え。ここまでお世話になりました。

で、対面で待っていた伊勢志摩ライナーに移る。

往々にして電車は新しい方が乗り心地いいと相場が決まっている。だがしかし、ゆっくりくつろぐ時間はほぼなかった。というのも、

次で降ります。乗車時間9分。当家最短記録「3分」(橿原神宮前〜大和八木)更新は困難だろうけど、短いことに変わりなし。

短すぎて寂しいので、降りる直前だけデッキに出て、かぶりつき勢にやさしいほぼ全面ガラス張りの最後尾展望を堪能していた。

あっという間だったけど、きみにもお世話になりました。

にしても、ネットでチケットレス特急券だけ確保した結果、乗車券は券売機標準タイプ。サイズに似つかわしくない4桁運賃がじわじわくる。

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