Review – スターフィッシュホテル -image soundtrack- / 2006.12.20
22 Dec 2006
なんかお取り寄せに時間かかりそうな表示されてたので、今週着は無理かなーと半ば諦めながら、Virus ともども新星堂サイトで水曜にぽちっと買った星魚。が、なんと普通に今朝着いちゃいました。あらびっくり。思わず即聴き(正確にはくまが昼寝してから)。というわけで、思ったとおり間隔空き放題のレビューですよ。
なお、最終曲のみ大ちゃん作曲でも編曲でもないのであれですが、目の付け所が完全に大ちゃんオンリーなのでカテゴリは普通にこっちです。
01. 新宇宙マシーン
静謐な空気の中に響くベル音。徐々に世界が広がっていきます。澄んだ音色に包まれて、ゆったりと遊泳する感じ。
02. 闇の国
景色は一転、手探りしたくなるような先の見えない雰囲気。深く沈む音空間の中で、終盤のアクセント音がひときわ印象的。
03. ミスター・ディ・チリコの夢
不条理を絵に描いたような、居心地の悪い和音がそっと不安定さを誘います。ピアノが G を基本に鳴ってるので、ふと étude シリーズを思い出したり。
04. 昨夜、スターフィッシュホテルで…
「昨夜」何があったのかいろいろ考えてみたくなりますね。そんなミステリアスな夜を思わせつつ、しかし具体的なニュアンスはあえて語らず静かに流れ行きます。
05. あなたをダンスに誘うミスター・トリックスター
これで踊れるなんてただものじゃないですよ。で、この声は素材を加工したのか、元の声を大ちゃんが吹き込んだのかちょっとだけ気になります。
06. 歯車の子供伝説
こっちも加工ボイス入りっぽいんですが、だいぶ印象が違います。いかにもデジタル的な、規則正しいシーケンス。軽くポップささえ感じる、束の間の楽しい夢の時間。
07. 迷宮マシーン
うわ、い、位相がー。一瞬ヘッドホン壊れたかと思って確認しちゃいましたよ。そのくらいの勢いで、耳から迷路に引きずり込まれます。あーびっくりした。
08. ワンダーランド燃える(まじない師のダンス)
また違うダンスが。でもこっちも曲者であることには変わらないようで。あっちこっちに反響しまくる音、軽やか過ぎるステップの表現でしょうか。
09. 疑惑の浮遊
瞑想でもしているような、はたまた森をさまようようなあてのない景色、そんなつかみどころのない世界。
10. 霧がかる鏡
あれ、このフレーズは…(巻き戻して確認)…やっぱり。01の再現でした。そこへオーバーダブされた、古めかしいオルガン音が、何かを伝えようとしているようにも聴こえます。
11. 霧の中のミノタウロス
こちらも霧モチーフ。白い世界で、迷っている何者かに会ったのか、それとも迷っているのは自分? 他者のいない空間で、ひそやかな無言の会話。
12. 去年マリエンバートで
美しく甘い、思い出のひとコマを想起させるような、ゆったりとたゆたうワルツ。でも、それも一瞬の出来事なのですね。
13. 最後に全てがわかる
「全て」わかるというのは、知らないほうがいいことさえも判ってしまうわけで。どこかほろ苦い真実。知ったからとて気分が晴れるとは限らない、微かに残される闇。そんな中に、宇宙も闇も内包されているのです。
14. 夢幻蒼
これだけ Keiko Lee さんの作品ということで。
大人のナイトタイムでございます。シンプルにボーカルとピアノだけでムーディーに奏でられているのでデジタル味はないんですが、映画全体の雰囲気はこっちに近いんじゃないかと想像。
総評:
大ちゃんの「やんちゃ」仕事、規定路線の Virus を除けばこれが実質今年の締めくくりですね。で、目新しいお仕事を振り返ってみると、やっぱり虹の発展形だったんだなと。d・file がトランス部門、旅贈がピアノ部門からの展開とすると、これは不思議系部門といったところでしょうか。虹でいう紫・緑・黄あたり。ファンタジーぽいんだけど、どこか不気味だったり不安定だったりする、微妙なバランスの音が、なんだかいいさじ加減で決まってます。今回のこれは、癒し効果というよりは、非日常の世界にちょっとトリップしてみたい、そんなときに使うのが一番効くように思います。
あと大ちゃん的には、かなり自由に作らせてもらえたんじゃないかという気が。直接映画のサントラではない分、旅贈よりは縛りが緩かったんではないかと。そういう意味でも、いろんな音が聴こえてきて楽しかったですよ。
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