隠遁の里は緑ざかり (4) 閑かの門跡・2

まだ明けぬ梅雨。降る日はどっと降るし、そうでない日はそれなりに曇る。今日は大丈夫かと思ってちゃりで駅前に出たところ、ちょっと降られた。帽子で防げる小雨だったのは不幸中の幸い。でもね、眼鏡族には小雨が一番めんどくさいんすよ。
さて大原散歩、もうちょい三千院を堪能。

客殿から宸殿へと抜け、ご本尊が収められている部屋を経て庭へ出る。

さっき鑑賞した聚碧園とは石垣で隔たれた、有清園。頭上も足元も一面の緑が美しく、囲まれて歩けば心洗われる思い。

もみじの種を受け止めるのは、ふかふかの苔。じゅうたんのように広い面積を占める様子は、ぎゅっと凝縮された苔庭の祇王寺とはまた違う味わいがある。

少し進んで振り返れば、杉や檜の向こうに宸殿。
宸殿内は撮禁だが、こちらから観て右側の奥に玉座が設けてあった。ここで行われる法要は、神仏分離される前から宮中で催されていた行事が現在も引き継がれているという。

庭のあちこちで、苔に埋もれる小さな姿を見かける。

わらべ地蔵。ずっと昔からあるような佇まいだが、こう見えて平成期の作品らしい。

と、旦那さんのスマホが鳴る。どうやら、ランチを予約したお店の順番が回ってきたようだ。三千院に行ってくる旨をあらかじめ伝えておいたこともあり、戻るまで多少のタイムラグは許容してくれる模様。
さっさと向かいたいところ、しかしひとつ気になることがあった。境内にあじさいなかったっけ。とりあえず前進すると、幸い「あじさい苑」の文字を発見。ちょっとだけ寄ってこ。

6月中旬にしてはややゆっくりの開花具合。山沿いだから気温も低いんだろうな。

あとの予定もあるので、よく咲いていそうなものだけ拝見。

どちらを観ても青い花が並ぶ。土壌の性質によって色が異なるのを知ったのはいつだったかな。

本来はもっと奥の建物も存在するけど、あまりお店を待たせるのも申し訳ない。そろそろ出口へ向かおう。

有清園の中にもうひとつ重要な建造物がある。往生極楽院(重要文化財)。そもそも三千院が当地へ移ってくる以前からあるもので、内側には阿弥陀三尊を収める。
それにしても、初めて来たのになぜか漂う既視感。どこぞの「京都行こう」にたびたび登場しているのはこの建物だったか。

思わぬところに宮中との縁を感じつつ、門前でしば漬けをおみやげに仕入れて、足早に山を下った。

そうそう、バス停から三千院へと向かうルートにて「大原にとって重要なモノ」を見かけたよ。

大原の知名度を全国区にしたであろう昭和の名曲、デューク・エイセス「女ひとり」の歌碑。しかし我々が生まれる前の歌なんで、原曲ではなく嘉門達夫の「はらたいらに三千点」が脳裏に浮かんだのはいうまでもない。

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