名品たちの集う館 (2) きらめきの陶
24 Feb 2020
梅田で買い物とか近所で散歩とか、結局近場で過ごした3連休。例のアレも気がかりだし、そもそも連休だということを最近まで忘れていたので旅の手配も間に合わず。ま、長年しまいこんでいたオーディオ機器が復活できただけでもよしとしよう。
なわけで月初の美術鑑賞後編。
特別展と並行して、寄贈された品々を紹介する企画も行われていた。特別展のチケットで館内の全展示を観覧できることもあり、せっかくなので拝見。
匿名の方からまとめて寄贈されたのは、陶芸の中でも「天目」に特化した作家・木村盛康氏の作品群。驚くほど色鮮やかな模様をまとったものが多く、これは孔雀の羽のような色合い。
無数の星の中に浮かぶいくつもの星雲のよう。小宇宙と題したのもわかる。ひとくちに天目と言ってもいろいろあるんやね。
木村氏が天目を選んだきっかけは、著名な天目作品を鑑賞したことだったという。それがちょうど当館の常設展示品に。
油滴天目茶碗。国宝である。
実は当家、この品を観るのは初めてではない。昨秋の京都で大人気だった国宝展にもバッチリ展示されていた。撮禁だった同展と異なり、こっちは全館「フラッシュ等なければ撮影 OK」、美術館の類としては異例の太っ腹。おかげさまで記録が残せた。
そんな天目茶碗以外にも、常設エリアでは国宝やら重要文化財やらがバンバン展示されている。
国宝のもうひとつ、飛青磁花生。ところどころの斑点は鉄を散らしたものらしい。
あとは重文の中から、個人的にいいなと思ったものをいくつか。
一見すると白いだけの器かと思いきや、うっすらと蓮の花が彫られた繊細な白磁。
彫りの深い部分に釉薬が溜まることで、模様の美しさが際立つ青磁。
本物の葉っぱを一緒に焼いて模様にするという斬新な手法があることを初めて知る。
この色合いにピンと来たら納得の景徳鎮。顔料の濃淡で重厚感が出ている。
こちらも景徳鎮。縁起物として描かれた魚は、リアルながらもどこかかわいらしい表情。
時代や産地が異なると、色の使い分けもみられる。このように角度によって柄が異なる作品は、撮ってブレない程度の低速で回転する台に展示されている。壁沿いの展示品でも四方をぐるりと鑑賞できる、うれしい配慮。
ついでに余談だが、公式サイトで提供されている収蔵品検索機能が地味に便利。帰宅後にあれこれ確認できてありがたかった。
1時間半ほどかけて全館回った。見応えを考えると、なんだかんだでお得感あるひとときであった。
当館の基礎となる「安宅コレクション」を引き継ぎ、大阪市へ寄贈したのが住友グループ。戦前に住友家が敷地と庭園を寄贈したのが、天王寺の市立美術館界隈。それを引き受けた当時の市長・關一氏の銅像が当館すぐ脇に立っているのも、なにかの縁やね。
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