名品たちの集う館 (1) しなやかな竹

令和になって2月に祝日が増えた結果、今年は明日から3連休ができた。のはいいとして、アレのせいでイベントが次々に中止されるご時世。せっかくなので出かけたい気持ちは大いにありつつも、ではどこへ行こうか。いい案が出るまでしばし考え中。
さて今回は月初の屋内活動から。

前週に引き続き、この週末もまた芸術鑑賞会。やってきたのは、これまで寄る機会のなかった施設。

東洋陶磁美術館。平たく言えば「中之島の公会堂のお向かい」である。中之島には何度も来てるし、なんならこの建物の脇を通過したことも数知れぬが、常設の建物って往々にしてスルーされがちなわけで。なお、初めて名称を知った際に「TOTO?」と早とちりしたのは、自分が小倉育ちであることとは多分あまり関係ない(TOTO の本社は小倉)。

でだ。今回の目的は、年末から春にかけて開催中の特別展。受付で入場料を払う前から、いきなりお出迎えを受ける。

吹き抜けを占拠する、蛇のような竜巻のような巨大構造物。この空間に合わせて創られたらしい。会期が終われば解体される、その場限りのインスタレーション。
そんなサプライズから始まる特別展の名は「竹工芸名品展」。メトロポリタン美術館に収められた作品群「アビー・コレクション」からの展示である。そもそも竹工芸自体が日本独特の芸術品として評価されているようで、吹き抜けの作品をはじめとして竹工芸作家が国内にたくさんいることを今回初めて知ることとなる。

順路に従って2階へ。最初の部屋は、形式にとらわれない現代アートが並ぶ。

e の字を描く大きな曲線の中に、波のような模様が連なる。どことなく北斎の浮世絵が連想される。

自在にうねる筒のような形状。バネがあっちこっち移動する、懐かしのおもちゃを思い出す。

館内の過半数を使って全体で75点もの作品が展示されており、とてもすべてを紹介しきれないので、個人的にツボったものを少々。例えば、本来なら別素材で作るべきものを竹で表現したもの。

帽子ですね。普通に使えそう。竹だか籐だかでこんなものも作れるのか。

いかにも縁起の良さそうなひょうたん。整然とした模様もさることながら、紐までも竹製。

全体を通して感じたのは、重ねたり透かしたりといった表現に竹はとても向いていること。

ライティングで際立つ影のおもしろさ。かつて実家にあったランプシェードを思わせる形状の懐かしさ。

熱気球に似た丸みのある胴体は、ひねりを多用した模様が幾何学的にも見える。

大きな皿の底部、中央に浮かぶ花のような構造は、現代的な図案に通じるものがある。

なめらかな曲線、それと交差する細い斜線、さらに奥は高密度な太線と、3層で描く模様の立体感。

居並ぶ竹作品の合間に、常設展示も拝見。

2階の吹き抜け近くにあったのは、鼻煙壺といって中国で昔使われていた「嗅ぎタバコ」の入れ物。本来の用途を離れて造形がエスカレートする傾向がみられるのは、いつの時代も変わらんね。

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