欧羅巴幻想曲 II ヴェネツィア、水の都 (12) Piazza San Marco : 3

ようやくの梅雨明け。ただ入るのも例年になく遅かったから、結果的にはやや短かったことになるのかな。しかし、明けたって発表があった途端、蝉はフルボリューム日光もフルパワー、夏全開になって笑った。しばらくは昼間の散歩が捗らないなぁ。
さてヴェネツィア初日ラスト、この旅では珍しい夜の写真を。

ふねで本島に戻ってきた頃には、もうすぐ21時。

ヴェネツィアのシンボル、翼を持つ獅子の足元。空にはうっすら残照を映した雲がいい感じだが、さすがにだいぶ暗くなってきた。となると、ひとつ興味が出てくる。

日没も過ぎたこのタイミングで、路地の店などでは少しずつ明かりがつき始めていた。夜景とまでは行かなくとも、夕刻らしくライトがついた状態の景色を観られるなら観ておきたい。旅全体を通しての疲労がじわじわと蓄積しつつある中、まだ体力に余裕がある今日のうちなら、もうちょっと粘ることもできそうだし。

広場の外側、海沿いを西に歩いてみる。

一部の店ではぽつぽつと点灯しているようだが、街灯はしばらく眺めていてもつく様子がない。
しかし、この時刻になっても歩いてる人がずいぶんと多いことで。日の長い夏だから出歩きやすいのもあるし、限られた時間を有効活用すべく、少しでも長く街を堪能しているのだろう。

しばらく海沿いを行ってから、広場の西側の路地へと進む。この先は宝石店や有名ブランドが集中的に出店しているエリアのようだ。露店で売ってるのは偽物だから注意、というガイドブックの但し書きはそういう意味だったか。お高い品物には基本的に手を出さない当家、再び広場へと方向転換。

西面の入口で、足元にナイスなモザイクタイルを発見。そりゃイタリアだからアリタリア推しに決まってるわな。どのくらい前からあるものなのかは不明ながら、あしらわれているのが4発機なところにやや時代を感じる。
大昔に自分が来たとき、成田からツアーで使った航空会社がアリタリアだった。当時あったミラノ〜ヴェネツィア便がとんでもなく遅延の末、機材変更により「自由席」で乗る羽目になったことはよく覚えている。

広場をいったん経由し、帰るかどうか迷いながら外に出かかったそのとき、背後から歓声が上がった。思わず振り返り、その理由を悟って、急いで引き返す。

おっ、とうとう明かりがついた。同様にこの時を待っていた人も多かったのかもしれない。

暗がりを煌々と照らすめっちゃ明るいライトではなく、あたたかな色合いで控えめに、整然と並ぶ光が美しい。あきらめずうろうろしていた甲斐があった。

それなりに目的を達したことだし、そろそろお宿に戻りましょ。

広場裏のゴンドラも今日は営業終了。淡々と片づけが進む中、周囲の窓の明かりが水路にゆらゆら。

明暗差の濃くなるこの時間帯、こういうクラシカルな町並みは立体感が出て、昼とはまた違った味わいがある。

明日もあちこち歩くことになるだろう。ゆっくり身体を休めるとしよう。

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