欧羅巴幻想曲 II ヴェネツィア、水の都 (11) Bacino San Marco
23 Jul 2019
会社の方針により、実験的に在宅勤務デーとなった旦那さん。横で真面目にやってる人がいると、こっちもなにか真面目にやった方がいいような気がしてきて、寝かしていた写真加工などが捗るという思わぬ副次効果が。これを自主的にできる意志が欲しい。
さてヴェネツィア初日も終盤戦、静かに過ごしたひととき。
対岸に向かってぐいぐい進む。どうせ1区間しか乗らないので、乗降口のあたりで立ってるか。
さすがに20時台ともなると、海上の交通量もだいぶ減ったようだ。穏やかな水面。右舷にはサンマルコからダニエリくらいにかけてを望む。
思ったほど距離がないのか、ふねが速いのか。ほどなくして目的地到着。
サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂が建っているのは、ほぼこのためだけにあると言ってもよい小さな島。開いている時間帯であれば、室内の絵画とか、鐘楼からの眺め(別料金)とかもあるんだが、往々にしてそういうのは夕方もっと早めに閉じている。
我々が鑑賞しに来たのは、そっちじゃなくて対岸の風景。
サンマルコを囲む建物群のちょうど真正面。昼間に船上から観た、鐘楼とドゥカーレがセットになった定番構図そのもの。ふねからあわてて撮らずとも、ここなら心ゆくまでじっくり眺めていられる。
運河の入口、サンマルコのはす向かいには、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂。
観ての通り、夕方になって雲が増えてきた。陽が沈むところを観るには期待薄。ただ、海面が実に不思議な色合いをしている。もともと緑がかった海の色に、ほんのり赤みを帯びた薄曇りの空の色をプラス。この色合いが現像でうまく出るといいのだが、と気を揉みつつ、しばらく海に向かって何枚も撮る。
石畳の沿岸に座ってのんびり過ごすこと、15分少々。すると、わずかながら空に変化が。
ちょうど夕日のあるとこだけ、穴でも空けたかのようにピンポイントで雲が切れた。極東から来た異教徒が言うのもアレだが、聖マルコの粋な計らいであろうか。
静かな海面に、オレンジ色の光がゆらゆらと道を作る。空も海もうっすらと赤みを増す。
そういえば、過去数度のヨーロッパ旅で「海のある景色での日没」は観たことがなかった。オーストリアチェコスロバキアハンガリーに海はないし、フィンランドは白夜一歩手前で沈むまで待機してらんなかったし。イタリアに来てからも、内陸ミラノで陽が沈む先は山。島国日本ではよくある景色でも、大陸ではそうでもないことだってある。
ささやかなショータイムは、5分少々で幕を閉じた。
残照にほのかな期待を寄せるも、ちょっと雲が多すぎか。それでも、高いところの雲はなんとなく染まっているような。
余韻にひたる視線の先で、マルコポーロ空港に降りるひこうきが高度を下げていく。赤い電車に乗りたい当家は今回スルーしたが、夏季限定などで飛ぶ便があれば使うのもひとつの手やね。
だいぶ暗くなってきた。次のふねで本島に帰るとしよう。
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