こだまする未来の手前で (3) 塔の下の7人
15 Mar 2010
ファイナルお見送りシリーズはここから最終日に突入。ちなみに、これが終わったら思い出シリーズ開始予定。多分また長くなるよ、わたしのことだから。
前夜の帰り道。自宅付近で見上げた空に、厚い雲。あれが今から首都をめざすのだろうかと、東でお迎えするであろう皆様をふと案じた。そして、その時観た雲は本当に東へ行ってしまったのかもしれない。
新快速で眠りながら着いた、朝の米原。この後ツアー客が来るであろうホームに背を向け、小さな電車で1駅。空は、そこだけ穴でも開けたように晴れていた。
フジテック前。
これまで何度となく来た場所だった。LCX の支柱にやられたり、遅れていた N にかぶられたり、とにかく一度たりとも成功したことのない、まさに鬼門。だからこそ来た。得意だろうが苦手だろうが、狙いに来ることはもうできないから。
位置を決めようと、ふらりと歩いていたその時だった。
水路を挟んだ背後から、年配の同業さんの声。そこで撮るならそれに合わせて位置を決めるから動かないでね、と。
わたしはうかつだった。すぐに返事をすべきと考えて、即答する方を選んでしまった。自分の方が前にいる以上、しっかり構図を決めてから答えても良かったはずなのに。ひとりだと極端なまでに小心者になってしまう悪い癖が、最後の最後で出ようとは。
そう気づいた時には遅かった。10分前ののぞみでファインダーを覗いて、ここでは駄目だと判る頃には、後ろの人はもう場所を決めていたから。
青い空が、悔しいほどに眩しかった。
…思ったより酷くないって? いやいや。塔の不自然さはさすがに隠せん。やれば出来るけどずるいからやめた。
えぇ、ワイド端で横向きに撮ったものを縦トリミングしましたから。本当は4号車で、ぶちっと切れてしまったので…。結局ここでは最初から最後まで徒労に終わったよ。しくしくしく。
残念だったね…。僕は頑張って東京に行ってくるから、また帰りによろしくね。ほくろを付けた 6A は、爽やかに走り去った。
W1 通過と前後して、西からは虎さんが W8 の回送を見かけたとの情報が入り、東からは Wisteria さんが仕事先から直行して配置に付いたとのお知らせが入った。
戦いに挑んでいるのはわたしひとりじゃない。馴染みの皆様も、いやそれどころか全国にきっと何千もの人々が、最後を見届けようとしている。へこんでいる暇はない。最後の1本にすべてを賭けよう。
Comments
こんばんは。
広角だと後で傾き調整をしても不自然さが消えないですよね。
私の場合、縦構図、望遠でも水平が取れていない事がよくあります。水平にするだけで何十分もかかったりする事もしばしばです。
おはようございます。
なるほど、最後の最後で・・・と言うのはこう言う事情でしたか^_^;
撮影地で場所を自由に選べる時、実は一番乗りより後の方が目安がつけやすいので気が楽なんですよね。私がその状況になったら、その後から来た人の横や後ろまで下がってしまうかもしれません。
そんな頃、冷たい涙雨の東京では寒い橋の下で練習台を相手にカメラを振っていました。あの日は皆それぞれ思い思いの場所で最後の雄姿を待っていたんですね^_^
とらねこさん、おはようございます。
いろいろ加工手段は無くもないですが、いじった写真ってどうしても観て判っちゃうんですよね^_^;
わたしも水平とれてない写真いっぱいありますよ…。載せる時に補正入れると大半が右下がりになってるんで、姿勢に癖があるのかもしれません。
落ち着いて構えれば手持ちでも大丈夫なんですが、むしろ三脚で調整する方が苦手だったりします。
Wisteriaさん、おはようございます。
田んぼの脇なので目印がつけづらかったのは確かですね。あと、実はここで同業さんに会ったことが一度もなかったので、余計に焦ってしまった面もありました…。今になって冷静に考えたら、お魚さんなら(歪むけど)入ったかもです^_^;
あの日の東京は本当に寒かったことと思います。改めておつかれさまでした m(__)m
皆様それぞれに遠く離れていても、同じレールの延長線上で同じ列車を待つという意味では「近い」という思いが、最終日は特に強かったです^_^
撮ったときに「あちゃー失敗。」って思っても後で見るとそんな細かいことはどうでもよかったりするよね。
最後の最後に勝負に出たところはすごいえらい。
傾きはベルボンのアクションレベルサウンドっていう奴がお勧め。
まぁ勿論綺麗に撮れるに越したことはないんだけど、orzな撮影地の記憶って、大成功した場所と同じくらい印象に残ってるので、それはそれで今後は思い出として残るんだろうなぁと。
5000円で水平とれるなら良いなぁ。水準器つきのボディに買い替える予定は当分ないので、前向きに検討してみるですよ^_^
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