産業興隆の息吹あり (2) 贅を尽す造形

びっくりするほど暖かかった1日。買い物には上着いらず、家では窓全開にした方が体感室温が上がるくらいで、春の到来を予感させるお日柄であった。てことは裏を返せば花粉シーズン近し、と身構える旦那さん。結局ヤツは毎年来るのよね。
さて引き続き昨秋のトヨタ博物館見学から。

クルマの構造も仕様も、時代の流れに伴って徐々に変わっていく。

それまで主流だった布製の幌ではなく、きちっとした屋根を持つ車両の登場。

かたやエンジンの出力強化も進む。大型車をパワーとスピードで動かす発想はいかにもアメリカン。

トランクは一体化しておらず、最後部に外付け。鞄を背負っているようで、現代人から観るとちょっとユーモラスでもある。

性能だけでなく構造も改良が進み、コンパクトなエンジンを搭載した車両も出始める。

やや丸っこい本体に、曲線を多用した各部。T 型から20数年、同じフォード社だけ見比べてもかなりの違い。

「鼻先に立体エンブレム」も、意外と早い段階から各社つけていたのね。ロゴマークや動物以外にも、凝った形状をしたものがあれこれあり、各社のこだわりを感じる。

珍しいところでは、明らかに古い時代の日本製ナンバープレートをつけた車両。

なんと鍋島家の当主が所有していたカスタム仕様らしい。鍋島とはもちろん九州の鍋島藩から連なる家系である。戦前にこれだけやるのはすごいわ。

性能も外観も変化していく一方、登場からそれなりに経ってクルマが「文化」の一面を持ち始める。

例えば広告。販促物といえば製作当時の流行りが如実に反映されるアイテム。教科書や美術館で見かけるような画風が、時代を物語る。

そして現代でも盛んなモータースポーツの誕生。レーシングカーのために開発した技術が一般車両にフィードバックされていくことになるから、これもまた重要なカテゴリーやね。

製造から1世紀経つレース用車両があるということは、少なくとも 100 年前にはもうカーレースが行われていたわけだ。

お子様サイズが出るくらいには、当時から人気のイベントであったに違いない。

その流れに沿うようにして、スポーツカーというジャンルも確立していったようだ。
前輪から後輪につながるなめらかな曲線は、現在の美的感覚をもって眺めても今なお美しい。このような形状を持つ車両がかなり数多く展示されており、当時の流行がうかがえる。

Like
Share

公開から30日以上経過した記事のコメントは締め切っております。あしからず。