ぶらりと奈良派 (2) 宝物に集まる

コロナよりだいぶ前から常備品だった、黄ばみ防止などに便利なキッチン用アルコール消毒スプレー。最近すっかり見かけなくなっていた中、ふらり寄ったドラッグストアで久々に実物を発見。代替品も合わせれば当面安心ですわ。ほっ。
さて先月の日帰り旅、本題のお話。

当家では、休日の行き先に困ると美術館博物館の類をマップからどんどん開き、特別展の内容如何で決めるという一種のルーティンが存在する。今回もまさにそれで、そういえば以前から駅の広告などで見かけていたものをチョイス。

近鉄の駅からだいたい15分歩いて、やってきたのは奈良国立博物館。

そして特別展の名は「御大典記念 よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」。御大典とは即位にかかわる儀式の総称で、つまるところ令和のお祝い。本来は春に開かれるはずだったところ、例によってコロナで大幅延期、3ヶ月遅れでの開催となった。

当博物館は毎年やってる正倉院展の会場でもあるが、会期は短いし人めっちゃ来るしで、なかなか縁がなく。で、今回はタイトル通り、明治以降に修理や技法継承などを意図して造られたレプリカの展示。ただしレプリカといっても、素材から製法まで極めて高精度な作業が行われており、可能な限り「ベストコンディションだった時の本物」に近づけようと努力されたもの。

ポスターや撮影スポットにも採用されている「螺鈿紫檀五絃琵琶」が目玉扱いなのは、実際にモノを観て一発で理解した。表裏あらゆるところに螺鈿やら鼈甲やらが惜しげもなく使われ、そこへ緻密な細工も施され、さらに琵琶として使用可能。工期8年。
密にならずに間近で鑑賞できるよう、この1点のために展示ケースを囲む専用誘導路が作られており、そこへ入るための待機列スペースも用意されている。特にこの品は一見どころかガン見の価値ありなので、並んででも観るべし。

それ以外も思わず見入ってしまう品々が続出。木材、金属、織物、ありとあらゆる分野で当時の超絶技法が丹念に復刻されている。そんな中、絹織物の蚕が宮中養蚕品種「小石丸」だったり、染物の原料が皇居でとれた「日本茜」だったり、平成期の皇室エピソードがさりげなく登場。正倉院自体が宮内庁管轄なんで、当然といえば当然か。

特別展は新館全体で催され、入場者はそのまま地下通路経由で「なら仏像館」と呼ばれる旧本館の展示も鑑賞できる。仏像の収蔵数が想像以上で驚いた。こっち回るだけで30分くらいかかる(特別展は1時間前後)。

観終わったらおなかがすいた。西へ戻りつつ食事処を探そう。その前に。

奈良といえば鹿。6年ぶりに鹿せんべい頒布会を開催した。
しかーし、こんなところにまでコロナの影響。インバウンド全盛期と違ってせんべいをあげる人の絶対数が減っているのか、鹿さんの勢いがとんでもなく増している。3回もかまれた。しくしく。もう1セット買って旦那さんが再チャレンジ、あげながら歩き続けることで、かみつき被害削減に成功、せんべい屋のおばちゃんにほめられる。

今の奈良で鹿せんべいあげたいみなさん、止まるんじゃないよ。歩くのです。

やれやれ。危機を脱したところで移動再開。往復同じ道も芸がないので、南に回り込もう。

興福寺境内にちょっとおじゃましまして。

ここも時短拝観を実施していたようだ。いろんなところにいろんな変化がもたらされている。

なお余談だが、興福寺南側すぐのところにある駐車場は、中学の修学旅行で1泊した旅館「大文字」の跡地だったことが、帰宅後に判明。修学旅行のしおりはあと何回役に立つのだろうか。

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