異邦人、香港に願う (4) 夕景展望

とうとう地元民以外に被害が出る事態。巷の声を拾うと、「こんな時に行くな」ってツッコミと「全土が大惨事なわけじゃない」って現地の意見が並ぶ。現状では前者もわかるし、先週の観測範囲では後者もわかる。無事帰ってきたからそう言えるのかな。
まあそんな香港旅、初日(11/2)ラスト。

陸上の騒乱をよそに、海の上は平穏そのもの。

やや霞みつつも、夕日が沈むところは見えそうだ。まだ行ったことのない、著名な夕日鑑賞スポットへ向かう。

といっても、九龍駅のとっても高い(いろんな意味で)展望台ではない。

湾岸に面して、返還前からあるショッピングモール・海港城(Harbour City)。その西端の屋上部に Ocean Terminal Deck という展望デッキがあるらしい。豪華客船の客室に似た形をしている、あの部分の最上階。

尖沙咀に戻った時点で、日没まであと30分少々。今から行けばちょうどよさそう。

ただし、デッキへの道のりは若干初心者に厳しかった。館内に入り、ただひたすら西まで歩く。フロアによってはまるで別の施設に間違って入ってしまったように見えても、とにかく直進。どん詰まりでようやく、最上階への動線があらわれる。GPS(=ポケモンのマップ)を信じて進んでなんとかなったけど、道標はちゃんと館内にあったのだろうか。

上がる箇所を間違えて駐車場に出るなどしつつ、なんとか無事到着。

西環方面、ちょうど2棟のビルの間に陽が沈む。少々もやっとした空は、それでも西日を吸ってなかなかいい色。

振り返れば、ビルの上の LED 広告たちも徐々に浮かび上がる頃合い。夜も相変わらず綺麗だろうなぁ。

だが、この日は海の夜景を眺めることなく宿へ戻った。
ほぼ日没まで観終わり、デッキを後にして外に出たところ、目の前のバスターミナル付近で若者たちの大きな声。広東語は今もまったくわからないが、声の調子がどう考えても抗議活動のそれ。うっかり近づけば、そのままデモ隊に飲み込まれそう。旅行者は危うきに近寄らず。すみやかに撤収。

戦う若者あれば、ロマンを謳歌する若者もある。きっと地元のみなさんも一枚岩ではない。

この時点で、どこがデモのホットスポットなのかは把握できていない。大きなカメラは部屋に置いて、夕食もお宿の近くでとることにした。いや、昼間に見かけたものが気になってまして。

かにもいいけど、隣のこんがりとしたアレ。ガチョウのロースト屋さん。前回、人気店を覗きに行ったら大行列で断念したのを踏まえて、ここで見かけたのもなにかの縁であろうと。

窓以外の外観撮り忘れたんで、テーブルの敷き紙で代理。加拿分道に面した、おもてはコンパクトながら客席数はそこそこあるお店「棋哥燒鵝餐室」さん。他にも店舗がいくつかあるようだ。なんせ初めて入る店、こういうときは看板メニューを指名しよう。

燒鵝髀(もも肉のロースト)。注文時、店のおばちゃんが「切るかどうか」を尋ねてきたので、切ってもらったのは正解だった。
味わい深いお肉にパリパリの皮、肉にもごはんにも合うたれ。つーかこれ写真より若干でかく見えるし、なんならごはんも多くないか。いわゆる逆詐欺(見本より大盤振る舞い)か。むしろごはんが多すぎて食べきれず申し訳ない。

それと、うまいんだけど脂もノリノリなので、脂流しにスープ推奨。セットで $126(当時 1700 円少々)。
いずれにせよ、麺と粥に続いて香港定番ご当地グルメをまたひとつ実食できた。あとで調べてみたら、現地でも比較的評価は高いっぽい。下調べせずに当たりを引くとは幸運な。

すっかり満腹で店外に出ると、お宿のすぐ脇、彌敦道にデモ隊が展開していた。民主派のトレードマーク、全身黒服に黒マスクの若者も多数。お宿から 500m と離れていない警察署前でも活動が盛んだったことを、そそくさと引き上げた部屋のテレビで知る。
今日は土曜、明日は日曜。ここ何週間か、週末ほどデモが激化する傾向にあるらしい。明日も用心して動こう。

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