無限の光よ、しあわせを運べ

最後に観たのは10年前。写真はない。あまりの混雑に、家族3人がっちり腕を組んで歩くしかできなかったからだろう。
そんなイベントが、今年は不入りだという。そう言われると行きたくなってきた。

神戸ルミナリエ
そもそも震災の鎮魂…と今更説明するのも野暮だが、在学中におそらく3回か4回は行ったと思う。その後知らぬ間に開催期間が短縮され、ここ数年は募金を呼びかけるほどの状態。ネットで地元の声をいくつか読むと、夢と癒しを求める段階は過ぎて、近隣の方々が現実を重視しつつある、とかなんとか。納得したような寂しいような。

まあ、硬い話はおいといて。とりあえず18時の点灯シーンが観たいので、16時台後半には現地入り…

ってもうこんなにおるんかい! 交通規制(=歩行者天国化)を今か今かと待ち構える人が歩道にぎっしり。ひええ。誰や今年は人少ないとか言ったんは。
17時頃に車道開放。溢れる人垣の中、それなりの位置を確保。あとは1時間耐久っすね。

が、数分後。沿道設置のスピーカーが鳴り出した。
「本日は大変混雑しておりますので、予定を早めて点灯します」
おいこらちょっとまて。まだ日没から間もないんすけど。大丈夫? 綺麗に見えんの?
という心のつっこみを華麗にスルーして響く「しあわせ運べるように」(震災復興ソング)。曲終わりで点灯かと身構える群衆。さあ最後のワンフレーズ終了…あれ、点かん。続けてクワイアが流れ出した途端、広がるどよめきと笑い声。吉本なら全員ずっこける感じ。

そして曲の途中、なんの前触れもなくその時は来た。

オートで撮ったら意外と暗かった。しばらくアングルと設定を試すうち、シャッター速度を落としたくなってきた。なんかこう、きらーんってさせたい。

電球の粒はオートの方が観やすいが、肉眼で観た眩しさはこっちが近いと思う。

久々に観たら、やっぱ綺麗やわぁ。昔は大丸横だった入口が三井住友前になったということは明らかにコース短縮で、予算のなさを痛感するのだが、短くなっても壮麗な光のアーチに見入ってしまうことには変わりない。て、なんか W が V になった話と似てんな。

住友の向かいはヴィトンの店舗。ショーウィンドウにアーチを映せば、広がる輝き。

気づけば入口で1時間近く撮り続けていた。そろそろくぐるか。

しかし、通り抜けちゃうと意外と早いんだよなこれ。入口で粘るのはある意味正しい。ゆっくり歩いても、10分ちょいであっという間に終点。

忘れないうちに、1口100円の募金箱に家族全員分を投じよう。

さて、あとは東遊園地の中をぶらぶらと。

広場には光の宮殿。

壁の内側に入れば、暖かな色の明るさ。

…おや? 今になって、もうひとつ光を放つ存在が目に入った。あぁ、今日は満月だったのか。10日余りの会期、唯一のチャンスが晴れの日でよかった。

小道に入ると、「希望の灯り」の炎を見守る控えめな装飾が。

この一角だけ他と比べて静かなのが妙に印象的。復興モニュメントの周辺だということもあるけど、やはりこの催し自体、全国各地のクリスマス用イルミとは一味違うんだなと再認識。
…とはいえ、最終的には単なる祭りと化してるが。遊園地内に氾濫する露店群が何よりの証人。

土産にベビーカステラを買って、フラワーロードを駅まで歩く帰り道。六甲の山の上から、KOBE 2008 のカラフルな文字がこちらを見下ろしていた。

今は神戸市民ちゃうから無責任なこと言うようやけど、年に一度の混雑と割り切るのもありだと思う。正直なところ夜型の自分としては、1.17 当日の「早朝」より、ルミナリエの「宵のうち」の方が、毎年確実に震災への想いを馳せる時間になるんだ。
できれば来年も観に来れたらな。開催継続を祈る。

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