うるわしの迎賓館 (4) 高低を遊ぶ

ウィーンにまつわる特別展が先月末から始まったので、開催してることを覚えてるうちに訪問。現地でも作品に触れる機会があった著名な芸術家さん、とっても覚えのある地名や街並み、などなどウィーン経験者がにやにやするもの満載で楽しかったよ。
なわけで迎賓館見物ラスト。

3階に戻ってきた。このフロアの北半分には、寝室など実生活に直結した部屋が集まっている。
最初の住人だった山邑氏は、「櫻正宗」で有名な酒造家。老舗の蔵のトップともなれば、2階の応接間や4階の屋上バルコニーは来客向けに使うこともあったと思うが、2階と4階をつなぐ動線は、3階のプライベート空間を通過しない形になっている。

風呂トイレ洗面所がまとめて1ヶ所に。ビジュアルの美しさのみならず、暮らしの場としても使い勝手はよかったのかも。

建設当時の一般家庭の風呂クオリティがどんなもんかは不明ながら、これはきっと当時としては相当しっかりしたものだったに違いない。

いちばん奥は二間続きの寝室。片方は売店、もう片方は映像資料の放映を行う部屋。

その手前に家族寝室だった部屋。現在は、建物ができた当時あった家具を復元したものが展示されている。
直線的でありつつも個性的な外見の通り、オリジナルは建物のデザインに合わせて作られたもの。確かに、建具や壁などに施された装飾ともよくマッチしており、まさにこの家に置くためのものだということが実感できる。

隣の小さな部屋の、いかにも純然たる和風のしつらえは好対照。隣室なのにこれだけ段差がついてるのもおもしろい。

1軒の家の中で、同じフロアにどれだけ段差があるかは、廊下に出るとよくわかる。

左上端に見切れている茶色の枠が、和室エリアの天井高さ。4階への上り階段を挟んで、ちょっと上がったところに水回りエリア。さらに奥でもうちょっと上がると寝室エリア。奥の廊下では天井にもちょっとしたアクセントが配してある。
かつて実家が数年ほど都内にあった頃、マンションの一室なのに当物件と同様に室内段差がいくつもあったことを思い出す。アレも傾斜に沿って建てられたものだった。

そんなこんなで小一時間。あれこれ堪能したところで、おなかもすいたし、そろそろおいとまの時間。

100年前の家とはにわかに信じがたい、堅牢さとセンスを兼ね備えた素敵な建物だった。

最後に改めて玄関周りを落ち着いて観察。
大谷石が選ばれたのは、こういった細やかな彫り込みを施しやすい柔らかさも決め手だったという。柔らかいイコール風化しやすいってことなんで、建築物全体としての長期保存には相当の尽力がされていることだろう。

どこを切り取っても絵になる家。初めておじゃましたライト氏の物件は、なかなか見ごたえあるものだった。

日本にある他物件も、いずれ機会を作って拝見したいものだ。特に帝国ホテルの一部が移築された明治村は、名古屋に1泊してでもしっかり回りたいところ。

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