当世お伊勢参り事情 (11) 極細線路・3

配達があるとわかっている日時以外は、ピンポン鳴らされても出ないことにしている。だいたいそういうのって勧誘かなにかと相場が決まってるし。アナログ販促の効果については昨日も少々考えたし、ネット最強とは必ずしも言えんが、いまどき直接訪問ってどのくらい成果出るんかね。
さて北勢線の話はぼちぼち折り返し地点へ。

西桑名を出て1時間弱。終点・阿下喜に到着。

見慣れぬ車窓を満喫したり、行き違いイベントもいろいろあったりしたからか、思ったより長さを感じない旅程であった。

恒例の終端記録も忘れずに。こっちも至って簡素ながら、周囲に壁があるなどしっかりした構造。

折り返しの発車は30分以上後のこと。せっかくなので、外に出てみよう。

三岐時代に入ってから駅舎と駅前を相当整備しており、まだ新しさを感じさせる建物。

その目的はどうやらバリアフリーにあったようで、駅前のバス停からホームまで段差レスのフルフラット構造。ローカル鉄道では都心にも増して歓迎される改善かもしれない。

駅舎の脇へ回り込んでみると、意外なものが目の前に広がっていた。

…転車台?
由来が気になって後で詳しく調べてみたところ、かつては実際に使われていて、無用になって以降長らく放置されていたものを有志の方々が復活させたとか。

その周囲を取り囲むループ状の線路。いくらなんでもナローすぎるが、さすがにこれは営業用ではなかった。同じ有志の方々の手で、時々ミニ列車を走らせている模様。

さらに奥へ目をやると、車両と車庫らしきもの。

鮮やかな車体に 226 と書いてある。戦前から随分長く走っていたモハニ50形の生き残りで、数年前に復元されたらしい。

そう、「ニ」なんですよ。扉に「荷物室」の3文字。出雲のデハニと同類、ということに旦那さんが気づく。
なお、車両背後の建物は「軽便鉄道博物館」といって、転車台やミニ列車と同様、地元で北勢線を応援している団体によって運営されているとのこと。月数回週末にはオープンしているようだが、残念ながらこの日は平日ど真ん中。数日後の連休にはイベントも催されて賑わったようだ。
細々ながらも、地元では大事にされている路線なんだろうなぁ。

ひとしきり見物を終えたところで、車両に戻って発車をのんびり待つことにした。

正直この日は結構暑さすら感じる陽気で、冷房車がありがたく思える。

ナロー感にもすっかり慣れてしまい、人が乗っていないときは広く感じるまでになっていた。まあ冷静に振り返るとバス並みのコンパクト空間だったわけだが。

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