Review – PANDORA : Be The One / 2018.01.24 + Blueprint / 2018.02.07

今週はずっと風邪で更新どころかパソコンごと放置状態だったところ、治りかけた金曜にようやく一括配送にて2作品を入手。先週末の大阪公演に参加できなかったのは本当に痛恨の極みなのだが、先行き不透明どころか何も見えない中、新譜発売自体は流れることなく予定通り行われたことに感謝したい。これが最後の感想文にならぬことを心から願う。

もくじ

Sg: Be The One

01. Be The One
仮面ライダーを視聴する年齢層が家族にいるわけではないんだが、熱くパワフルな歌声に、バックトラックは重厚感や疾走感に溢れていて、特撮などのバトル系ストーリーによく合うのはわかる。しかしボーカル担当の Beverly さんはすごい逸材やね。高音でも声量が細くならず、かといって音程に不安定感も少なく。最初で最後かもしれない同曲の生オンエアでも堂々と歌ってて度胸あるなぁと。

02. proud of you
仮面ライダーガールズなるものの存在を寡聞にして初めて知ったんだが、このシングルでカップリングを歌ってもらうには確かに適任だわ。こちらは一転してちょっとクールな雰囲気で。

Al: Blueprint

01. Be The One(UK mix)
原曲と比較するとえらいあっさりして聴こえる。スマートというかその分押しは弱めというか。

02. Shining Star
どっちかというと大ちゃん成分を多めに感じる(近作は不勉強だが過去の傾向からなんとなく)。歌はほぼサビのみ、あとは全編遊び心と透明感をちりばめた構成。クラブ系のハコでやると盛り上がりそう。

03. Aerodynamics
今回のミニアルバムの柱となっている大作。過去の御二方のいろんなインスト作品を総括するような「なんとなく覚えのある雰囲気を持った響き」があちこちに漂っていて感慨深い。それぞれに遡るなら、先生でいうとマリック・天と地と・スペースワールドあたり、大ちゃんなら虹・四季・メタバースなどに通じる、培ってきた足跡が詰め込まれていると感じた。
前半・後半・終盤で中心に置かれた音色の切れ味や重みががらっと変わるのも印象的で、これはきっと時代も特徴も様々な機材を使い分け、それぞれの特性を活かした結果なんだろうなと。

04. proud of you(UK mix)
01同様、あえてベースラインを抜いてアクセントつけるのは Dave Ford 氏の定番手法なのかも。

初回限定盤付属ブックレット

我らが同志・ビルボードの平賀氏がインタビュアーということで大いに期待して読んだところ、本当に前評判通り「パンドラの箱に残された希望」しかなくて、そのこと自体がむしろ胸にしみる。今年の状況が起こる前だったら期待感しか浮かばない。それだけにかえって「この先の展開」に言及できない現状があまりにももったいなくもどかしい。
ユニット結成を言い出した先生の頭にあったのは、持続的な音楽活動を行うための手段確保。お互いの状況を踏まえ、時代の流れの速さを把握した上で、そこへ如何にして乗っていくかをしっかり考えてこの2人の組み合わせが生まれた。そういう意味では、まさにこれから先にこそ存在意義のあるユニットだったはず。
なお付属ブルーレイの方は未見。あとでじっくり観る。

総評

今更書くまでもないが、いくら共作とはいえ「才能が枯渇」した人の作品じゃないわ。
確かに発売延期&曲数削減(当初は1/31アルバムリリースの予定だった)こそあったけれども、だからこそ完成し世に送り出された曲は作品として間違いないクオリティが保たれているわけで。ワンフレーズが人口に膾炙すればいいとインタビューにもあったが、ビルド視聴者層には年齢問わず大いに愛されているようだし、そうでなくてもあのサビは一発で覚えるね。

これで終わりとは未だに信じられないし、終わってしまったら日本音楽界には大きすぎる喪失だと思うんだけど、その一方で今の先生には休養が必要なのもわかってしまっただけに、複雑極まりない心境。我々にできることはしぶとく待つのみか。

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