OtiS IV

香港旅のお話というか、本題に入る前にデモ関連のお話。今回は、トラムがどのくらい影響を受けたのかをざっくりまとめてみた。なにしろトラムそのものが旅の第一目的だったもんで、出発まで非常に気をもんだし現地でも難儀したのだが、渡航直前に状況が大幅改善されただけでも良しとしよう。

※写真はいずれも2014年10月16日撮影。最新の状況とは異なる場合があります。また、電停名称表記の漢字は、一部を日本で一般的なものに置き換えています。

区間運転再開の経緯

香港トラムの公式サイトFB ページ、香港政府運輸省の臨時交通情報ページ等による経過。後者の更新が地味に早く、運行再開当日には通知が出てたりして助かった。

9/27
デモ発生
湾仔を臨時総站とした模様(金鐘周囲の運転見合わせ)
9/29
上環(西港城)〜維多利亞公園 運転見合わせ
維多利亞公園を臨時総站とする
跑馬地支線 運転見合わせ
10/10
デモ隊との交渉成立により金鐘付近のバリケード一時開放、屈地街電車廠から跑馬地へ8両を回送
10/11
上環(西港城)〜畢打街 運転再開
雪廠街(畢打街の東隣)を臨時総站とする
跑馬地支線 運転再開 ※堅拿道西経由で支線内循環
10/14
畢打街〜堅拿道西 運転再開
※堅尼地城〜跑馬地支線での直通運転が可能となる

なお、そもそも運転見合わせがあったのかどうか不明だが、北角(春秧街経由)の折り返し運転も行われている。よって10/16現在での不通区間は波斯富街〜維多利亞公園のみ。当記事公開時点でも再開していない。

※追記:旅行終了後の状況

10/21
百徳新街(東)〜維多利亞公園(東)の折り返し運転開始
当区間のみ無料で、東行き線路を往復(維園以東への直通はない模様)
10/30
不通区間を越えた先で使える無料クーポン配布を開始
※富明街にて維園・筲箕湾方面用、維園にて跑馬地・堅尼地城方面用を配布
12/15
全線運転再開、それに伴って無料折り返し&無料クーポンも終了

百徳新街〜銅鑼湾総站

最後に残された不通区間、銅鑼湾付近。訪問前日になって西行きの車道のみが開放されたものの、トラムの線路は塞がったまま。

百徳新街の電停が占拠されていると前回書いたが、正確に言うと電停占拠は西行きのみ。横断歩道を挟んだ東行き電停は、来ない電車や乗客をただ静かに待ちわびている。たまに我々のような歩行者が通るくらい。

運転見合わせになって2週間以上。レールはすっかり赤錆に覆われていた。青黒い本来の輝きを取り戻す日は、もう少し先なのだろうか。

東行き基準で百徳新街の1つ先が銅鑼湾総站。

平常時であれば、東行き電車のうち銅鑼湾で折り返す系統が、U ターンして西行きに変わる模様を見物することができる。

構造上、折り返せるのは東行きが西へ戻る場合だけ。西行きが東へ折り返すことはできない。そのため、総站自体に線路支障がないのに使用中止となってしまった。
香港のトラムでは営業路線内に「終端」が一切存在せず、すべての折り返し地点で線路がループ状になっている。とりわけ銅鑼湾総站はコンパクトな造りで見物に最適だっただけに、それが中止されていたのは残念。

維多利亞公園(維園)臨時総站

銅鑼湾が封じられ、トラムは東西分断を余儀なくされた。
西側区間では、銅鑼湾手前の跑馬地支線(支線全体がほぼループ状)を使って折り返している。が、東側区間にはちょうどいいループがないため、近くの電停が臨時総站とされていた。

西行き基準で銅鑼湾総站の1つ手前、維多利亞公園。

ここにはポイントはあるが、ループ線がない。そのため行われていたのが、トラムの中の人を常時待機させての「人力折り返し」。

運転台は両側に設置されているが、線路に終端がないことから、通常時の車両は1方向にしか走らない。先頭の屋根にでっぱりがあり、トロリーポールが後ろに伸びているのが本来の向き。上写真の青い車両は左から右へ走ってきたので、これが通常の向き。

また、乗降は進行方向左側のドアから後乗り前降りに統一されている。乗務員用のドアには、乗り降り箇所を案内する表示がない。別の車両を見比べると、白い車両は正方向、赤い車両は逆向きで走ってきたことがわかる。

ではどうやって人力で方向転換するのかというと、実にシンプルでめんどくさい方法だった。

まず、西行きとして到着した車両のトロリーポールに路上から棒をひっかける。

次に、棒をひっぱってトロリーポールを架線から外し、東行き用の架線につけかえる。その間に、ポイントの切り替えもこれまた手動でやっていたようだ。

これで青い車両は、東行きを逆向きで担当することになる。同じ作業を黄色い車両で行えば正方向に戻る。

この手順を知ったのは、現地の同業さんによる FB ページ。方向転換や普段出ない幕はある意味珍重されており、逆向きの車両は「倒叮」と呼ばれていた。
なお余談だが、香港ではトラムのことを「叮叮(ding ding)」と言うらしい。走行中に前方へ注意を促す鐘の音を表すようだが、要するに都電や阪堺を「チンチン電車」って呼ぶのと完全に同じ発想。お国が違っても相通ずる所はあるもんだ。

運行している部分は乗れる限り全線乗る、というのが旅の目標だった。半日かけてあちこち乗って、最後に降りたのはこの臨時総站。

警察が立てたコーンは、本来あるはずのない終端。いつか街が平和に戻ったら、どうしても乗れなかったほんの数百メートルを穴埋めしに行かねば。

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