異邦人、香港へ行く (1) 事件現場

青いとこでは逐次報告してましたが、このご時世に香港行ってきましたよ。
つーか旅行手配したのは6月頃なんで、その時点で現状など知る由もなく。10月に入ってから毎日のように国内外の報道サイト等を巡回しまくり、出発直前まで状況を見極めて、地区さえ選べば旅行可能と判断。結果として、当初の目標はある程度クリアすることができた。今回ほど真剣に国際ニュースを意識したことは前代未聞ではないかと。
というわけで、本来の目的の話をする前にまず概況から。

※写真はいずれも2014年10月16日撮影。最新の状況とは異なる場合があります。

「このご時世」とは、いうまでもなく、9月末から今も続いているデモのこと。

香港島及び九龍の一部幹線道路が、3年後に予定された選挙制度変更に反対するいわゆる「民主派」の人たちによって封鎖されている。デモ隊は複数勢力に分かれており、学生さん(大学生・高校生)が中心のようだ。

旅行会社で航空券と宿だけを頼み、完全フリータイムで3泊4日の旅程。といっても、初日は夕方に成田を出て宿にチェックインするだけで終わり、本格的な観光は翌日朝から。
ガイドブックで調べておいたレストランへ朝食をとりに向かったら、そこはどっかで観た景色の目の前だった。

ここは金鐘(Admiralty)の駅前。商業ビルもあるが、主に香港政府の中枢施設が集まっている地区。

ビルをつなぐデッキを進んでいくと、大通りを渡る。ずらりと並ぶテント群。現時点でデモの最大勢力はこのエリアだと思われる。まさに「報道写真で観た場所」そのものが目の前にあった。

デッキから大通りに降りる階段は、メッセージを書き込んだポストイット等でびっしりと埋め尽くされている。よく観ると LENNON WALL HONG KONG の文字。プラハの自由と平和を願うシンボルが、ジョンレノンに触発されたレノンウォールという壁だったらしく、それの香港版ということのようだ。

ふつーにテント間近を歩く人も結構いた。木曜日だったので単に通勤客もいたと思うが、どう観てもそうじゃない人も。我々は遠くから眺める程度にとどめておく。

デッキは歩道でもあり、メッセージを掲げる場所にもなっていた。

香港だから英語でなんとかなるだろうと思い、広東語は全くといっていいほど予習せずに来た。が、北京語より日本の漢字に近いので、雰囲気的なものはなんとなくわからんでもない。

ただ、そこでピカチュウゲットだぜ的なやつが紛れ込んでいるのは何なんすかね。
ちなみに「689」とは現在の香港行政長官(一番えらい人)を意味する隠語で、たった 689 票で選ばれたというのが由来らしい。

で。観ての通り、ここは道路である。

本来ならバスやタクシーがバンバン通っているはずの場所。それがこうなったことにより、自動車は他の道路に集中し、結果として中心部はだいたいどこも大渋滞が発生しまくっていた。

トラムの線路があるのは1本南の大通り。そこもバスだらけ。おかげでトラムも大いに遅延したのだが、実はこの付近、14日にようやく運転再開にこぎつけたばかり。動いていただけ良しとしよう。

香港島内でもう1ヶ所、交通が深刻な影響を受けている大通りがあった。

銅鑼湾(Causeway Bay)、そごう前。日本にもあるあのそごうの香港支店である。ここにも線路が通っているが、トラムは来ない。

すぐ近くの百徳新街という電停が、金鐘とは別勢力らしきデモ隊に占拠されている。ここさえ開通すればトラム全線復旧なのだが、残念ながら我々の滞在中に解消されることはなかった。デモに伴ってトラムが受けた影響については、次回の記事でまとめる予定。
外国人旅行者である自分にとっては、どうすることもできない政治問題。だが、公共交通機関が長期にわたって寸断されているのは極めて不便だった、というのが、旅行者としての率直な感想。

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