お名残列車、東へ。 (1) 誇りの文字列

乗り鉄属性もある故、在来線や三セクの全線乗破は経験してきた。が、新幹線の乗破、それも1列車に5時間乗りっぱなしの旅はきっとこれきりになるだろう。わたし(たち)をそこまでさせる魅力か魔力か、それが500系 W 編成にはあったということ。
2010年2月14日。記憶に深く刻まれた1日の記録。

起床後チェックアウトしたらまっすぐ駅へ。近いから余裕かましすぎたのか、ホーム先端までの移動は間に合わないと判断。4号車付近でスタンバイしたら、駅員さんに「黄色い線の内側」を念押しされた。柵の内側でも黄線厳守。今後もっと人が増えるであろうことを考えたら、少し厳しいくらいで妥当なのかも。

夜明け前の博多は10月以上に暗かった。

くねくねとした線路を照らして、大きな目の W がやってくる。博多南寄りの同業さんに注意を促す放送も軽く入りつつ。

今日はどうぞよろしくね。


「のぞみ6号 東京ゆき」の証を博多で確認できるのも、いよいよこれが最後。

発車時刻迫る中、もうひとつの重要なシンボルを写しとめる。怒濤の遠征ラッシュで得たポイントで、ぎりぎり間に合ったグリーンプログラム特典。それがなければ、このお別れ乗車実現に踏み切ることはできなかった。

ふと足元を観る。入線時には撮るのに夢中で確かめ忘れたけど、まぎれもなく W1。バームクーヘンにも採用された8号車。最後の旅の舞台に、ゆっくりと乗り込む。
さあ、行こう。東京へ。

07:00、定時発車。
まもなく検札。朝食の足しにしようとコーヒーを買い、砂糖とミルクを入れて顔を上げたら、あの文章が目の前を横切っていった。…抜かった。博多小倉間って最高速出やすいことで有名やん。ま、これは 6A だ。きっと必ず再び出るさ。
次いつ来てもいいように 40D の設定を固め、隣の空席に置いた。そして案の定、次のチャンスはきちんとやってきた。新岩国寸前。

これで 6A に乗った目的を1つ達成。各所で使っているアイコン写真も入れ替え。

本当は、全通過駅の「ただいま○○駅を通過」メッセージも撮りたかった。こだまでは絶対に観れないその表示を。しかし、新下関と厚狭は待機姿勢が甘くて失敗。コンプリートは諦め、とりあえず撮れる駅だけ撮って「通過」と判りやすい絵を残すことにした。

そういう意味で一番適しているのは2文字の駅(これは観ての通り広島県に入ってからのこと)。シャッタータイミングは理解していても、その瞬間に振動が強いと綺麗な文字にならず、結構神経を使う。

W1 は、濃霧に包まれた山口県内を駆け抜ける。

まっすぐな朝日が車内を照らす。あの霧のようにもうじき幻と消える、枕の形も浮かび上がらせる。

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