実録・おひとり様物語 過客編 (2) 涙雪

本気で風邪を治したもうひとつの理由、それは2月27日。
なにがなんでも東京に居たかった。500系ファンとして、二度とないかもしれないものを記録と記憶に残すため。この話、1記事に繋げたいんで、いつにも増して長いよ。

前も書いたけど、完全な隣接での東京離合は3/13が最後。わたしが観れるチャンスは2/27だけ。それだけで2泊の価値はあると思った。しかもその日は臨時連発、現存する4本の W がフル回転。…これは今度こそ狙えるか。朝から晩まで全部撮り。しかもなるべく違う場所で。
狙ってみた。この際写真の出来は無視。拡大できなかったら「あぁこれフォロー不能レベルの失敗作ね」とご笑覧のほど。


意気込んで 6A に乗り込み出発するも、京都は甘くなかった。

9A。もうなにがなんだか。6A 乗りながら 9A 撮るのが無謀か。
気を取り直して、体力温存しつつ東へ。だが新横の手前辺りから、あれ? 地面と空が白いですよ? こんな日に限って雪かー!! でも「東京で降雪」は充分レア風景。よし。

ただの金曜にも関わらず、同類10数人。暗黙の了解で、希望の位置を確保。たまにはみ出す人がいて困ったが。
さあ、本日の大一番。29A(W8)+9170A(W1)、そして雪。


ちゃんと 29A 発車前に来てくれるか。いつもそれが心配だった。今回もまた、ぎりぎりのすれ違い。11月よりいい位置で露出も改善して安堵。

急いで在来線へ乗り換え、そして W1 回送を待ち伏せ。


さすがに雪の中、交通会館は無人。暖をとるついでに、同じ有楽町で新規開拓。しばし待って 9172A。

あー、ピント合わん。ガラス越しでこの天候はきつい。でも試し撮りの B は成功してたから、単に腕の問題やろな。

その折り返し、9187A は浜松町で。この悪天候、展望台で600円に値する絵は撮れないと諦めて歩道橋へ。しかーし。

鼻先切れました。水滴つき窓越しは本当つらい。とりあえず W9 だと判明しただけでもよし。消去法で 9A が W7 という判断材料になったからね。

ここでチェックインして身軽になり、そして汐留へ。これが強烈に過酷だった。まず光量がない。降るものは完全に雨化。レンズにすぐつく水滴。拭くため屋根下へ引っ込む。また出る。すると水滴。以下エンドレス。
だが今回ばかりは引き下がれん。考えた末、流しに賭けた。9193A 用の送り込み。一旦大井へ逃げた W1 が再登板。


おぉ、さすが初心者に優しい区間。原寸で観たら、電光掲示が既に「のぞみ 博多」の状態なのが判った。そもそもの画質性能の悪さを考えると、流しとしては大変うまくいった方。

その足で新橋へ。といっても、ゆりかもめの方。撮るために来たのは初めて。短い練習が終わる頃、9193A が来る。

後追いでなんとか確保。先頭ミスったのは、右手だけ機敏になるように薄い手袋にしたら凍えて逆効果だったせいかもしれん。

22時台。超遅い夕食の傍ら、50A のロケ地を再検討。夜の東京でしか撮れない絵って、なんだろう。…あっ! 肝心なのを忘れてた!

そう、ほかでもない東京駅。この遅い時間にホームにいることは、今後ない。てか、ここで夜の駅撮り自体が初めて。今までこれだけ東京来てるのに意外すぎる。しかも時刻表と違って19番線に来たから慌てたやんけ。


目の前で、「のぞみ 東京」が「回送」に変わる。W8 が一日の仕事を終える瞬間。

暗さ故に輝きを増す、鋭い視線と滑らかな胴体。ずっと眺めていたいけど、そろそろおやすみの時間。テールランプが闇に消えるまで、静かにお見送り。
余談だが、23時ともなると乗換口の券売機は終了済。有人改札のおねえさんに精算所まで案内してもらい、新幹線改札内で入場券を買うというイレギュラーな方法で入った。出る時も有人改札だったんで、その入場券は記念にとっておく。入る時「お迎えに入られますか」って言うから「はい」と答えたが、間違ってないよな。対象が人間でなく車両なだけ。

こうして、よほど物好きな暇人でなければやらんであろうことを1日かけてやってしまったのであった。夜の東京で同業さんに話しかけられ、「9号」じゃなく「9A」と呼ぶ段階でヲタっすよ、と判断できた自分も同様にヲタやなと、今更な実感を抱きつつ。
翌日以降の成果については、また後で。

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