陽炎と蒼穹にかける橋

天気が昨日以上によかったので、また突然動いてみた。本当はもっと早く思い立てば遠くに行けたのかもしれんが、ふらりと行って気軽に写真練習するのもありかなと。

昼食後すぐ、元町までの昼特きっぷとそこから先の回数券、という組み合わせで往復分をチケ屋さんで仕入れた。これで片道130円違う。お茶ボトル代が浮いた。
今日の組み合わせもまた、321→223。張り切って最前にかぶりついてみたら、いやー素晴らしい快晴。ちょっと暑すぎて遠くの線路がゆらめいてるけど、まずは気持ちよく目的地到着。
さて、ここはどこかと言いますと。

いまどきクラッカーなんぞ鳴らす人がいるのか。そんな西明石。
のぞみ通過駅では迫力のシーンが観れるらしい。小田原や米原と並ぶ定番だと聴いて、来てみた。とりあえず今日は「近い」という最強の理由でここ。往復1000円少々+入場券120円(のぞみ駅では140円取られたのに)で練習に来れるなら、安いもんだ。

しかーし。通過駅をなめてました。
はやいよ! はやすぎるよ!!
確かに迫力は最高だが、もう全然撮れない。何度やっても1編成たりとも止められない。皆ものすごい勢いでフレームアウト。先頭車両が8割写ってればいい方。慌てて振り返った後追いですら、カメラの再スタンバイが間に合わない。

結局「顔らしきもの」が撮れたのは、超ボケまくりの500の後ろ姿だけ。700も N も完膚なきまでに全滅。
あとで失敗作をじっくり検証したら、ロゴや号車表示が読めるレベルのやつも多数あったんだ。つまりシャッター押すのが遅い。カメラじゃなくて腕のせい。修業あるのみ。

諦めて帰ることにした。が、各停に乗って数駅、開いた扉の外に美しい構造物。吸い寄せられるように降りていた。

白亜の明石海峡大橋が、これ以上ないくらいの青に染まった空と海を、水平に貫いていた。あまりに長すぎて、どう工夫しても橋の全景が入らないのが惜しいといえば惜しいけど、この青さには言葉を失わせる力があった。
…そして納得した。ここが大勢の人を惹き付けた理由を。

ふらりと降りたこの駅の名前は、朝霧。駅から海辺へ来るには、ある橋を渡らねばならない。南端の隅にひっそりと、「想」の文字を刻んだ碑が設置されている、あの橋。
明石歩道橋事故。
大蔵海岸が、橋や海だけでなく花火を眺めるのに素晴らしい条件を備えていることは、現地に立ってみれば自明のことだった。わたしだって、もし明石市民だったら来たいと思ったことだろう。だからこそ観客が詰めかけ、そしてそのキャパに見合わない警備計画が悲劇を呼んだ。
押しつぶされた人々の無念に、心の中で手を合わせながら渡った。

昼特きっぷには、その名の通り制限がある。17時までに元町を通過せねば。駅員さんに説明するのも面倒なので、律儀に元町で下車して再入場。
ホームに上がったら、撮りの練習をしたくなってきた。新幹線が不発だったからというのもあるし、アーバンの車両も好きなので今のうちに押さえておきたいのも事実。なんといっても、この路線は放っておいても次々やってくる。外しても「あっ」程度のダメージで済むのは気楽だ。

原寸でいうと2ピクセルの紙一重で収まった207。でも柱が邪魔やし顔が暗いし。

結構なスピードで突っ切っていく新快速223。元町はホーム端が狭くて、黄色い線内でもえらい迫力。

321がいまいちだったり、221を全部失敗したりしつつ、30分。とりあえず快速に乗ってみた。降りるところで降りたら、強烈な西日が再び撮影心をくすぐった。

お。初めて321が全身まともに撮れた。

顔はほぼ無視。とにかく223を光らせてみたかっただけ。本当はもう少し日が落ちた方が綺麗に全面光るはずと想像。夕方ラッシュ対応で12両いっぱいあるもんやから、停止位置目標がいかんともしがたい。

最後に下りホームで偶然来た桃太郎さんを見届けて、駅を後にした。

今日の練習でよくわかったのは、在来線ですら相当失敗するってこと。この子たちで百発百中できるようになったら、新幹線対応も余裕もって臨めるだろうか。

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