Report – billboard classics ELECTRO produced by Tetsuya Komuro @ 兵庫県立芸術文化センター / 2024.07.28

本年5本めのライブでございました。普段通りの1ツアー1公演に戻したんで次の参戦予定が白紙なこともあって、存分に味わいつくす心づもりで行ってきた。相変わらず芸文の音響はとっても素晴らしいのですが、いかんせん音量がだいぶ大きめで(Apple Watch に怒られた)一夜明けても動画視聴にちょいと支障が。まだ何公演かあるし、耳弱めの方はお気をつけて。
クラシックシリーズなのでセトリ事前公開方式は今回も踏襲。ネタバレと呼べるのは終盤くらいかな。

もくじ

会場概況と物販


開場前に現地入りしたものの、物販は開場後のみと判明。併設店は満席なので鉄ヲタしぐさを発揮(入場券課金で西宮北口駅構内カフェに退避)して暑さをしのいだ。結局30分前に入場、必須と判断した LED リングだけお買い上げ。

購入直後の動作確認が推奨されていた。15色対応、たいていの推し色は網羅できそう。観ての通り開演前照明が青かったんで青を選択。
自席は券面印象だと1桁列。だが今回はオケピ不使用につきX*列も設置、結果として2桁列になった。とはいえ上手すみっこ付近からはピアノに向かう表情もバッチリ視認、なんの支障もなし。

ビルボード系あるある「開演5分前までは撮影可」の恩恵にあずかって機材観察。最近の定番セッティング(グランドピアノ、Montage、ハモンド、Moog 他)。開演前 BGM は JAZZY TOKEN。

第1部(17:00〜17:52)

オケメンバー(Premium Orchestra Electro:本編終了時の MC で名称判明)入場、音合わせ、藤原氏、そして先生入場。白の上下に羽織った黒のビロード生地ジャケは金刺繍入り、もはや貴族。

01. Traffic Jam
先生はほぼピアノ。22人のコンパクト編成とはいえオーケストラでのバッキングにより、原曲からだいぶ格調高めになった。直後のコメントによると「ニューヨークや東京のイメージ」。

MC.
2年前(HISTORIA)から「今度はこうやりたい」と思っていた「打ち込みとオーケストラを一緒に鳴らす実験」が今回のシリーズ。全公演お付き合いってわけにもいかないと思うので、今日だけの人も楽しんでほしい。

02. 約束の丘
TM ツアーで観たような気がする細いライトが客席も巻き込んで場内を照らす。構成はややコンパクトになった一方、音の厚みは増している。先生パートは Moog やハモンドで骨太に。

03. Many Classic Moments
ほぼ弦楽器群のみで入り、追って管楽器群が加わる。さらにパーカッション、と少しずつ増す音圧とテンション。原曲はトランスだが、あえて細かいリズム隊はなし。中盤は荒々しい面も覗かせるアレンジ。
なお間奏には Over the rainbow を混ぜていたとのこと。すんません…その時期のぐろーぶは詳しくないんよ…。

MC.
今回は実験、とは「前回は売れた曲でご挨拶がわり」ってニュアンスも込み。
んで次曲に言及したところで客席からくしゃみ。案じつつ「犬が入ってきた」とちゃかす先生であった。同一セトリの福岡公演では曲切り替え時に拍手すべきか躊躇が感じられたため、「曲間拍手はしなくていい、世界観に浸って最終曲の締めまで溜めて」と明言。

04. CAROL 組曲
そりゃオケ適性は TM 中抜群なのよ。以下メモれた範囲で個別言及。

04-1. A DAY IN THE GIRL’S LIFE
弦楽器群とシンセだけで入ってからの全開放。ボーカルラインは抜きで雰囲気重視。

04-2. CAROL (CAROL’S THEME 1)
こちらは管楽器を軸に。前曲引用部分が特に効いている。

04-3. CHASE IN LABYRINTH
マーチっぽい軽快なリズムで照明もポップに。サビでは管と弦の掛け合いも。

04-4. GIA CORM FILLIPPO DIA
コンガの打ち鳴らしから入って全楽器賑々しく、照明も多色使い、いろんな意味で派手。

04-5. IN THE FOREST
青いライトが交差する演出は「森の中」イメージかな。管楽器と弦楽器でパートを弾き分け、合流してのサビというスタイルは組曲以外でも多くの曲でよくみられた。

04-6. CAROL (CAROL’S THEME II)
要所を締めるパーカッション。ドラマチックな間奏はバイオリンの本領発揮。最近の頻出音色=クワイアも交えて厳かに。

04-7. JUST ONE VICTORY
厳密に言うとその前につなぎの曲が入る。ってつまり YONMARU 構成ズバリですね。なんなら当曲アレンジ自体がほぼそのまんま。サビでは弦楽器群と Montage での掛け合いもあり。後半のブレイクではパーカッションや第1バイオリンなどにスポットが当たる。

ここで20分休憩。ところで上手2回席先端にカメラがいらっしゃいましたので、またの蔵出しをお待ちいたしております。

第2部(18:13〜19:05)

先生衣装チェンジ。やや淡めの青スーツになった。首元にはシルバーアクセも多めに。

05. FREEDOM
珍しく主要楽器がだいたいサビメロディを踏襲。ドヴォルザークの「家路(新世界より)」を引用した導入部とか、空へと上昇するライティングとか、なんとなく宇宙を感じるのはガンダム念頭ですかね。

MC.
映画で(上映しながら)やってみたいそうです。
ここで「福岡からずっと一緒にいてくれる人」=木根さん登場。紹介時の「話が長くて疲れる」というコメントは終盤戦への盛大なフリだったのだろうか。
で、黒の上下にゴールドのジャケットという派手衣装でやってきた木根さん。アコギ片手に入場早々「夏休み(拓郎)」「精霊流し(さだ)…ならぬ『小籠包流し』」をかます(後者は神戸ご当地ネタと思われる)。さらに「さだまさし風げわい」まで。完全に場内の空気を変えてしまった。おそるべし。
ということで次曲は「作ってあげたやつ」。TM ツアーでギター・ピアノ・ハーモニカといろいろ上手に弾くので…と先生が説明しているそばから赤とんぼを吹き始めるし、いざ入ろうとしたらハモリの打ち合わせが舞台上で始まっちゃうし。まあわりとフリーダム(それは前曲)。

06. Carry on the Memories
ほのぼの曲がオケ入りで格調増しになった。聴いてる範囲では打ち込みパートはなかったように思われる。

MC.
じゃあ次はピアノを弾いていただけますか、と木根さんを席へ誘導。シンセブースとは背中合わせで窮屈かと思いきや、先生「邪魔なんで出ますね」とそこへ運ばれてくる Mind Control! やったね。

07. You Can Dance
直前の「セルコンのサビちょっとだけ入れといた」との言葉通り、間奏の各ループ内で2小節め相当の位置にあのサンプリングボイスが。たまに木根さんが腰を浮かして指を立ててみたり、先生が右から乱入して連弾披露したり。オケも照明も賑やかに。
なお最後の締めがだいぶてきとうだったので先生に締め直しを求められ、それでもなんかちょっとぐだぐだになってたのは一種の照れ隠しかもしれない。
こうして木根さんタイム終了。大拍手の中退場となった。

08. Piano solo〜Angie
前曲の思い出し笑いなのか、いきなり入りをとちってやり直したのはご愛嬌。最初はピアノとチェロのみの静謐から、やがて全楽器参加の重厚な音へ。

09. Get Wild ELECTRO Mix
イントロ前半は哀愁漂うマイナー展開、ボレロを思わせるリズムも交えつつ、徐々に Continual 版ベースのアレンジへ。管楽器は華々しく、バックを支える弦楽器に諸々使い分けるパーカッション。間奏ではサビの4段活用(1ループごとにキー上昇)も経て大サビはみんなで派手に。

MC.
次が(名目上は)最後の曲。日本は暑すぎるので、マイアミの爽やかな感じを味わってほしい。

10. South Beach Walk
今回一番楽しみにしてた演目。生で聴く機会めったにないからね(自分は未経験の可能性あり)。
バイオリンの音色が入ると一気に高級リゾートになりますな。管楽器は伸びやかに、弦楽器の高音は原曲ピアノ同等に細かく刻み、低音はゆったりと。先生のピアノは後半へ進むにつれジャジーな雰囲気を増していく。終盤では Moog から Montage でのギターへと流れ、ピアノとチェロで静かに締めくくり。

MC.
日曜日(のライブ)はほんわか・ゆったりしてて好き。自分は(土日休みという制度自体が)関係ないけど。と言いつつ、同様に土日関係ない藤原氏&オーケストラの皆様ご紹介。よく観たら上手最後方のお二方は先生スタジオの溝口氏&赤堀氏(TK SONG MAFIA)。

アンコール枠(19:07〜19:32)

名目上はここまでという立て付けでありつつ、拍手が鳴り響く中で早々にマイクスタンドが仕込まれる。

11. 背徳の瞳〜Eyes Of Venus〜
さすがに YOSHIKI ばりのドコドコ高速ドラムはございません。あと同一フレーズ繰り返しパートをうっすら削ってた気がする。締めがボレロ風なの懐かしいな(NK ホール版を想起)。
先生はピアノから入ってあとは Mind Control 抱えてボーカル。なんだけど、ちょっとつらそうやな。特に後半の高音。ねえそれって木根さんと喋りすぎたんちゃいますか。それはそれとして、アウトロでは機材の機動性を活かして上手にも下手にも練り歩いてくれた。

MC.
かなり若い時に作ったから(ボーカルのキーが)若い。まあ作った人なので(勘弁してね)。そしてまさかの「もう1曲」。

12. GRAVITY OF LOVE
原曲のシュッとした感じとはまた違うベクトルでのおしゃれな雰囲気。大サビ前の B メロでリズム刻みがオフになってみたり、最後の “LOVE” をセルフサンプリング(人力で繰り返し口ずさんでそれっぽく)してみたりと、遊び心もあれこれ。

MC.
この人といたから声出なくなっちゃった、と言いながら木根さんを呼び戻す。ですよねー。木根さんは「いいコンサートだねー!いい音だしいい曲だし誰が書いたの?(笑)」ひたすら褒めちぎっていた。
改めて他の皆さんも紹介、そして皆さん退場、最後に先生1人残留。
あと3公演、次は8月札幌(ゲストはウツ)。序盤2公演は野宮真貴さんだったが、木根さんにしろウツにしろ歌唱曲は本人チョイス。札幌分は未定なのでオケの人たちが大変? とりあえず9月のことは考えないで札幌に向かってがんばる。
そして先生的にぜひ観てほしいのがパリの JAPAN EXPO ゲスト出演ステージ。ちょうどこの2日前(7/26)に金曜定例配信で全編やってくれてとてもよかった。本人制作曲縛りで DJ はそら絶対楽しいに決まってんのよ。

と、たっぷりトークの末に終了タイム。最後に「いってきます」と去っていった。

19時終了の心づもりでいたんで、思わぬ大盛りに驚くやらうれしいやら。TM 曲や木根さんタイムでは今年のツアーの余韻がどっと帰ってきたし、終盤(名目上アンコール)は過去のソロツアーを彷彿とさせるし、結果として先生のいろんな側面が滲み出てくる内容でございました。
選曲からメガヒット縛りが取れてマニアック寄りになった結果、逆にオケとの相性は格段に上がったので、この路線変更は大正解と受け取っている。またやりましょう。

Like
Share

公開から30日以上経過した記事のコメントは締め切っております。あしからず。