欧羅巴幻想曲 II ヴェネツィア、水の都 (18) Fondamente Nove

近所の家の窓枠に、1匹の蜂が巣を作り始めているのを見つけてしまった。自分ちだったらすごい勢いで事務所に通報するんだが、なにぶん他人の家なので積極的には言いにくい。でも蜂が居着くのは困る。うーむ。やっぱ明日電話しようかな。
さてヴェネツィア2日め、小ネタを拾いつつ移動しつつ。

北へ向かう途中に、知る人ぞ知る謎スポットがある。せっかくだから寄っていこう。

リアルトから北東へちょっと行ったくらいに位置する広場 Campo Santa Maria Nova。ここから観る分には、明るく穏やかな空気が流れるいこいの空間。だがしかし、このすぐ近くに「いわくつき」アイテムがあるという。

広場の西の角、細く狭い路地の中。

その名もズバリ「不幸の石」。路地の幅3分の2にも及ぶ大きな敷石は、一見すると確かにデザイン的には異質ではあるが、何も知らなければただの石。なんだけど、遠巻きに観察していたところ、観光客じゃなさそうな人があからさまに避けて通るところを複数回目撃した。路地に入るや、なんとなーく右側に寄ってって、踏まずに通過。やっぱなにかあるよね。
なお、由来ははっきりしない。こんなもんの紹介がガイドブックにあるはずもなく、排水溝の上で床が薄いだの、墓地への通り道だの、諸説あれこれだけがネットに漂っている。日本で知ってる人が多少いるのはどう考えても ARIA のせい。

そんな不思議に触れつつ、あとは海岸線へまっしぐら。

やはり水が高いときはこのへんも浸かってしまうのだろう。外壁の煉瓦は明らかに、高潮に当たりそうな箇所の色が違う。

この時期はその心配もほぼないので、点在する飲食店も平穏そのもの。あれだけ見事なグリーン日除けができているということは、真夏の陽射しはさぞかし強いのであろう。今年もヨーロッパ全体に猛暑というか熱波気味らしいし。

昼食をとった辺りから、腹ごなしも兼ねてのんびり歩くこと20分前後。

ようやく見えてきた。海と、ふねのりば。

のりばが並ぶ海に面した石畳の道は Fondamente Nove という。翻訳にかけると基礎だなんだと妙な感じになるが、要するに海や川に沿って造られたこういうモノのことを、ヴェネツィアでは総じて Fondamente と呼ぶらしい。人工島で海岸線を形作っている構造物だから、結局のところ家の基礎と似たようなもんかもしれない。
で、ここがヴァポレット路線網において重要な拠点となっている。特にムラーノやブラーノなどの離島へはここからの発着が主流。空港まで行くふねの一部も経由する。ただし、駅はまだしも、サンマルコからは本島の半分を大回りする必要があり、直通系統も限られるので、歩いた方が早いというわけだ。

ムラーノの手前に浮かぶ、サン・ミケーレ島へのアクセスも必ずここ経由。あの島にもあとで寄ってみたけど、島全体がバリバリ現役の墓地ということで撮影不可。さらっと見物だけで終わった。

てことで、いざムラーノ島へ。基本的には4系統に乗ることになる。東回りの4.1と西回りの4.2があり、島で最初に停まるところは同じ。とにかく島に上陸したいだけならどちらでもよい。当家が乗り込んだのは、時刻表から判断するとおそらく2のほうだったと思われる。

これまで乗ってきたふねより、ひと回り小ぶりな船体。そこまで多客にはならないのか、外海でガンガン飛ばすことを念頭に置いたのか。外海といっても本島は「潟(Laguna)」の中にあり、波はそこまで高くないだろうけど。

ちょうど島の手前で、別系統による同型のふねと並んだ。小回りはこのタイプの方が利きそう。

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