Review – TM NETWORK : DEVOTION / 2023.06.14

リリイベ感想だけ書いてうっかり満足しかけていたが、肝心のアルバム本体の感想がまだだったのよ。発表時には大変驚いたソニー復帰。CD として一般リリースは QUIT 以来、つまり9年ぶり。どうりで最近 CD の感想書いてないと思ったわ。てことで、もう同志のみなさますっかり耳に馴染んだ頃とは思いますが、例によって自分用めもという扱いで。

01. DEVOTION
近年の主役級ソングはミディアムテンポが多かったので、その路線を想像していたらとんでもない。音と勢いの強さに一瞬でもってかれた。恐れ入りました。あと随所に出る3連打が EUROGROOVE の “Be Happy” ぽいって方がいらして納得しかない。
歌詞面では、最近の先生トレンドである熟語を駆使した「最善」と「献身」のくだりがファン冥利に尽きるね。「重心=銃身」はパワーバランスと武力行使の現況を映した直球ワード。No more の中身は個々の解釈に委ねられたので、今のうちに想像しておこう。

02. RESISTANCE (TK Remix)
以降数曲、待望の正式音源化。昨今の時事を踏まえると、はうくら配信ライブ向けに選曲された21年時点とは意味が違って聴こえる。先生的には去年のツアー(以下 iD’22 と表記)の盛り上がりを受けてとのことだが、今聴くとウクライナ支援に思えるわ。

03. WE LOVE THE EARTH (TK Remix)
近年の既存曲アレンジ変更の中でトップクラスに好み。改めてマイナーコード化は大発明やったなと。4/21のニコ生特番で実質公開収録となったコーラス部分も、つい耳をすませてしまう。

04. KISS YOU (TK Remix)
やはりあの3連打の押しの強さが際立つ。特に iD’22 ツアーから、圧の強い音を要所で意図的に使うことが多いような気がする。ライブ映え意識もあるんかな。

05. TIME TO COUNT DOWN (TK Remix)
iD’22 ツアーのぴあアリーナ版準拠らしい。まず BPM が明らかにゆったりしたし、ド頭はビルボードクラシックス風やし、実質ラララが本体やし、なかなか斬新な再構築。原曲の持つ疾走感というより、不安感や焦燥を心に秘めたような雰囲気ね。

06. How Crash?
2年くらい聴き馴染んだ曲が満を持してようやく物理音源化(ライブ円盤のおまけ除く)。これだけ何ミックスでもないってことはほぼ原曲なんすかね。まあおおよそ配信ライブと遜色ないようには思うが。

07. 君の空を見ている
COCOLO 最速解禁祭りの時点で「実は暗い歌説」を考えたが、やはり「君」には簡単に会えないように聴こえる。君が観たものを後追いで観てるし、会う前にいくつも季節越してるし、出だしが Nights ぽいし(考えすぎ)。それはそれとして安定のキネバラ。

08. Please Heal The World (Studio Mix)
単に NFT の CD 化と思いきや、全然違うな? そもそも尺めっちゃ増えとるわ、ボーカル控えめになるわ、女声コーラス入るわ(この効果が絶大)、ブレイク入るわ。後半どんどん混沌としていく音空間にも大きく印象変化を感じた。

09. End Theme Of How Do You Crash It? (Studio Mix)
あれ、従来版では終盤の転調なかった気がするぞ。いずれにせよ、次は何が来ると思う?って煽り曲でもあるんで、名称に反してわくわくするのは仕様です。「名前のないあの曲」な当時から CD 化待機状態やったんで、ここで入ってよかった。

10. intelligence Days (Studio Mix)
以上3曲、TM としてはかなり異例のインスト3連構成。締めのこちらは iD’22 ツアーで Overture と呼ばれていたやつかな(7.1追記:ではなくエンディングの方)。雷鳴のようなパーカッション連打が印象的。

11. TIMEMACHINE
ソニーからお願いしてボーナストラック化したという、初のスタジオ正式収録。ラスグル版の儚い感じに比べると温かみをふんだんに盛った音色。オール手弾きの結果は実際こうやって音に出るんやね。

総評:
個人的解釈としては、既存曲チョイスの基準は「人類の営為を思う humansystem」+「世界の終末を思う N 期」なのではないかと。こういった世界観の曲を持ってくる時点で何らかの意思を感じる。その上で近年のリアルワールドあれやこれやを取り込んだ新作を合わせて、ひとつの物語に仕上げる見立て。
ただ、新曲の公式解釈はシティーハンター公開を待つしかないともいう。映画観ないと真の答えはわかんないよ的なこと先生が言ってたし。まあそうでなくても観るけども。前作よかったから同じスタッフなら絶対大丈夫やろという信頼感あるし。あとはその、なぜか(わざとか)収録されなかった Whatever Comes に関してもちゃんと物理リリースしていただければ幸いです。

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