実録・おひとり様物語 遺産編 (3) ゼロの花道-1

やっとこないだの堂本観れたよ。全編にわたる大明神っぷりに感動した。つい続けて2回観ちゃった。でも2回めになって曲名テロップ書式がいつもと違うことに気づいて、やっぱり少し寂しくなった。でも、大ちゃんの音を拾おうとする耳が歌メロに引っぱられた辺りに、曲の力を感じたよ。
さてその30日の話。本来姫路駅撮りは想定してなかったんで、ここからが本格的に送別会。

5時過ぎ。こういう時だけ起きれる法則は健在。身支度をして、他の宿泊客を起こさないようにそっと出発。
姫路は目下、高架化と駅テナント増築の大工事中で、前日に観たら南口コインロッカーの表示が青シールで隠してあった。フロントで尋ねたらやはり南にはないっぽいので、教えてもらった東側通路を抜けて北口へ回る。早めに起きてよかった。

キャリーバッグをつっこんだら、始発の次の電車で西へ。10分ほどで竜野に到着。
まだ暗くてこわいのと、今行くとあまりにも早すぎるので、前日買っておいたパンを駅の待合室で食べる。待合室といってもドアはなく極寒。壁と椅子があるだけいいとしよう。早すぎるなら次のに乗れよと言われそうだが、次だと現地着が間に合わんのだ。
6時半に出る神戸方面の新快速に合わせ、乗客が続々到着。到着直後はただの闇だった正面の山と街並みが、少しずつ見えるようになってきた。そろそろ歩けそう。駅を出て東へ向かう道に入って、息を飲んだ。

通過時刻の空が楽しみだ。

揖保川に着くと、先客が数人。きっと他の川の方が賑わっていることだろう。ここは大混雑には程遠く、のんびり撮れそう。相生へ向かう途中に寄れる、という理由でここを選んだのは正解だったようだ。

にしても、さすが日の出前。先行 RS で試すも、ISO 400 でもかなりきつい。でも空は分単位で明るくなり、5分前には ISO 200 まで落とせるようになった。あとは待つだけ。

直前になって、地元の方らしき人々がやってきた。どうも下りが遅れているんちゃうか、と言う。上りが先に来たりして、などと言っていたら本当に背後から接近音。現場に緊張が走る。

620A 通過。…あっ。その先に光が見える!!
近づいてくる白い目と、遠ざかる赤い目。その両者が、橋梁よりずっと向こう、でもぎりぎり見通せる範囲で、並んだのを確かに観た。そして。

629A 通過。その差、わずかに30秒。

1秒の違いが数十メートルになるから、すれ違いはプロでも10日以上通ってやっと撮れるかどうかだと、地元民らしきおじさんが言っていた。本当に難しい。でも、写真は残らなかったが、その瞬間は遥かに見届けることができた。そしてこの快晴のグラデーション。頑張って来てよかったと確信した朝7時。
0系が2本とも駆け抜けるのを待っていたかのように、川向こうに太陽が姿を見せた。

そのまま揖保川に腰を据える人もいたようだが、わたしは移動。駅へ戻ってすぐ、外見上はただの新快速にしか見えない湖西レジャー号が、朝日に染まる紅葉の山麓を駆けてくるのを鑑賞した後、カフェオレに乗った。

この後は生まれて初めてのものが待っている。

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