Report – ショコラ ド マリア・カラス 〜マリア・カラスの香り2009〜 / 2009.02.08

「今年初」と書くことはもうないと思っていたが、とんでもない。これがようやく今年初大ちゃんだよ! 観れるのはこの1公演のみ、部活欠席、レギイベも多分無理なので、集中して楽しみたいなと意気込んで臨んだわけで。
じゃ、遠慮なくネタバレ全開ボリュームたっぷりで行くっすよ。

内容は2部構成。プログラムから引用すると「ミュージカルコメディー仕立て」&「悲劇」。カラスのことは名前しか知らんレベルのわたしでも、それだけ頭に入れとけば充分だった。
蛇足だが、何を着て行くか迷ったのは杞憂で済んだようだ。わたしより数段カジュアルな人がいて激しく驚いた。

♪第1部

中島さん(ピアノ)と三宅さん(チェロ)が位置につくと、いきなり大ちゃん登場。執事らしく前説に来たのね。
そこへ、柴田さん=「お嬢さま」が御帰宅。次々と届くチョコを食べるたびに、お嬢さまに若き日のカラスが憑依してのびのびと歌いだすのであった。

大ちゃんが演技するとこなんぞ勿論初めて観たが、本業じゃないにしては全然いけてるんとちゃいますか。
イダルゴ先生はすました感じで、かたや執事は素に近いのかなーなんて思ってたら、なんかだんだんオーバーリアクションになってくるし。追っかけっこ(チョコがあやしいと気づいて食べないよう監視)シーンとか、後述のあれとかそれとか、かなり笑ったわ。笑ってもいいと前説で言ってはいたが、まさかあんなに大笑いさせられるとは。

エンターテイナーだけ「Performed by 浅倉大介」になっててどう流れを持ってくのかと思ったら、そういうことか。
ひとり現れた大ちゃん、ピアノの周囲に誰もいないことをしつこく確認(壁の奥とかピアノの隙間とか絶対おらんし!)後、ノリノリで弾いて拍手に満足げに応える。んで悦に入ってると後ろからお嬢さま戻ってきて、背後から拍手を更に煽るだけ煽っといてツッコミ、と。完全にコントや。

他のパートでは、中島さんもしれっと演技に加わってたり、三宅さんが歌ったり踊ったり…ってチェリストがそんなんするのも初めて観たわ! チェロっておとなしいイメージがあってんけど、演奏の方もダイナミックな奏法がたびたび出てきて、視聴覚的にかなり楽しかった。
しかしあれだ、客席の相当数を大ちゃんヲタが占めてるという前提でやってるよね絶対。最後に大ちゃんが「わたくしから」とチョコを差し出したら、お嬢さま曰く「あなたのファンに何と言われるか…(がくぶる)」。うは。いや、どっちかっつーと付属品装着する時の方がよっぽど何か言いたかったわ。なんつって。
…その後の「ちゃんちゃん♪」×2は破壊力あったな…。

♪第2部

そろそろ始まるという頃。背後から小さく鈴の音がした。何度も何度も。どう考えても「気のせい」という域を越えてる。なんか、ぴんと来た。
うしろからくる?
それを確信に変えたのは、後ろ向きのビデオカメラであった。

って本当に大ちゃんきたー!! し、しかも。うわあ。
今回他の方から譲っていただいた席だったのだが、わりと後ろから神席で、ゆったり気楽に鑑賞してたのね。ただし、通路沿い。演出上通路を使うから荷物置かんといてね、て注意喚起があったとはいえ、まさかそう来るとは。
内心あたふたしてる間に、大ちゃんギャルソンは舞浜のお練り歩きよりも近い距離をすまして歩いていったのであった。目で追うのが精一杯っす。

ここからの筋は、人気絶頂になった後のカラスの葛藤。初演版の頃から伝え聞いていた汚い言葉での罵倒シーン、大ちゃん本人とは180度違うからやはり貴重だ。という見どころもありつつ。
音楽面で圧倒的に素晴らしい才能を持っている人が、それをなげうって恋に生きたいと望む姿。あれ、そういうのどっかで観たような…。ついそんな視点で観ちゃったもんだから、芸術家の孤独に想いを馳せつつも、それでもやっぱり素敵なステージが観たいよーと願う観衆の気持ちにも共感。なんであんな人に惚れたんじゃー、ってとこまでかぶってて内心苦笑。
そして恋破れ、自分にはこれしかないと再び音楽に向き合い、絶唱するカラス。知らぬ間にすっかり、柴田さんが紡ぎ出すカラスの世界観に飲み込まれていた。それを「夢」と呼ぶのなら、その後大ちゃんが大ちゃんに戻って「夢の続き」をピアノ1本で奏でた理由がわかる気がする。

こうしてカラスの一生をたどって、最後に歌われた、この公演のための書き下ろし曲。ここまでの流れを踏まえて聴いたその曲は、美しく哀しく、そして力強かった。

♪まとめ

本筋に関してはだいたい上で書いた通りだが、これをきっかけに実物のカラスの音源を聴いてみたいなと思わせるくらいの魅力は存分に感じられた。そう思わせてくれたのは、勿論柴田さん自身の力量に負うところも大きいやろな。マイク通さないソプラノの歌声が、空気を震わせ彩る様を、あの規模のホールで味わうって、なかなか贅沢やん。

しかしまあ、今までに観たことのない大ちゃんがこれでもかというほど詰まった2時間やったわー。終盤のイマジンも、ステージ上で楽器を持たず椅子に座って聴き入る姿なんて、普段のライブじゃ100%ありえない。
最後のトークで柴田さんがうっかり「来年…」と口走ってたが、もし来年またこのコラボで音楽劇なんやったら是非観たいもんだ。いやー、このためだけにはるばる来た甲斐があったよ。うん。

Like
Share

Comments

公開から30日以上経過した記事のコメントは締め切っております。あしからず。