Review – T.M.Revolution : UNDER:COVER(初回限定盤) / 2006.01.01

常々お越しの方にはくどい言い訳ですが、大ちゃんが原則「作曲」という形でしか関わってないこのアルバムを、このカテゴリに入れるのに無理があるのは百も承知です。だいたい、思い起こせば開設早々「先生作曲だからって TM カテゴリで CoCo」という無茶をやるような人なので、もうそこらへんは諦めていただけると助かります。
ので、せめて「初回限定盤」を強調してみました。ボーナス CD は正真正銘大ちゃんの音ですから、これなら大丈夫です、よね?

ということで、ようやく通して聴けましたので、ライブ未経験者の視点でひとつ感想をば。長いですよ。

01. HIGH PRESSURE
いきなりノイジーなギターと手数の多いドラムにぐいぐい押されております。間奏のコードがマイナー化したことで、男っぽさがやや増した気がします。

02. WHITE BREATH
って紅白でいきなりこれやったんですよね。いやー、何も知らない人(曲名からあのイントロを思い浮かべた人)は相当びびったと思いますって。
サビのギターのスタッカートがものすごくくっきりしてるんですが、その手法はむしろ一部分にとどめた方がよりインパクト大だったかもな、とちらりと思いました。

03. HEART OF SWORD 〜夜明け前〜
ピアノから入ったのは予想外。音色こそ違いますが、わたしの好きなイントロのフレーズが生き残っていて嬉しかったです。
ソリッドな音が多い分、オリジナルよりやや都会っぽいようにも思えます。が、前2曲があの調子だったもので、これはあまりいじってない感じが別の意味でびっくり。

04. AQUALOVERS〜DEEP into the night〜
あのリズム刻みが好きだったので残念ながら絶賛はしがたいんですけど、イントロとか、ピアノ1本での最終サビとか、はかなさが増したという意味ではいい感じです。

05. Zips
もともと近作だけに、ギターの鳴り具合がさほど変わらないという意味では違和感少なめですが、オリジナルに入っていた高速ドラム&間奏シンセが、わたしにとって重要だったような気がしてきました。
しかし一番驚いたのはフェードアウトで終わったことなんですが。ライブアレンジなのでそれはないとばっかり思ってました。

06. THUNDERBIRD
そ、そう来ましたかー! ピアノだけでも充分いい雰囲気なんですが、後半盛り上がってくるところでのストリングスの入れ方が最強。流石でございます。ボーカルが割れ気味なのが惜しいところですが、アレンジとしてはここまでがらっと変わってるといっそ気持ちいいですね。
…と、菅野さん好きなのでつい点が甘くなったり。

07. BOARDING
なんとなくアメリカンというか、からっとした空気を感じます。オリジナルではむしろ雨が降ってそうな雰囲気でしたが、これはこれで素敵ですね。新解釈として成功してると思います。

08. HOT LIMIT
ラップ追加ですか。それ(人の声が増えたという意味)も含めて、全体的にすごい生っぽくなりましたね。

09. Joker
すごいことになってます。さりげなく哀愁漂う系だったのが、憤りをぶつけるようなとがった雰囲気に大変身。実はこれ、オリジナルを聴く度に Iceman の曲が頭をよぎってたんですが(要はサビのコード進行のせい)、ここまで別ものになるとそれもないかも。

10. LOVE SAVER
ドラムの刻み方ひとつで、体感 BPM がだいぶ変わるもんですね。いや、人が叩いてることを考慮すると充分高速なんですけど。たたみかけるようなラストの怒濤の流れはナイスです。理想としてはあの調子で全編…は身体が持ちませんって。

11. 夢の雫
こちらも儚い系から変貌を遂げ、終末感漂うというか、ドラマチック分やや増しというか。ただ、ラストあたりでギターとストリングスが前面に出過ぎてコーラスとぶつかってるのはもったいないような気がします。

12. 魔弾〜Der Freischütz〜
やはりこの曲から打ち込み要素は消せませんでしたか。にしても、ドラムがすごすぎです。よくこれだけ叩きまくりましたね〜。その奮闘もあってか、「オリジナルのニュアンスを保持したままバンドアレンジに移植」という意味では一番うまくいっている気がします。
余談もいいとこですが当時、ウムラウトの出し方知らなくて処理に困って、画像使ったりただの u で済ませたりしたような…と、何故か仕事の記憶が甦るこのタイトル。

13. Twinkle Million Rendezvous
どロックと、どクラシック(そんな言葉ないな)の二極化をなんとなく感じる今回ですが、その両方入るとすごいリッチな人数に。ちょっと前半から盛り上げ過ぎかなという気もしないでもないですが、雰囲気は素敵だと思います。

14. LIGHT MY FIRE
これまたシンセ音が残っていたことに少々驚き。元からといえば元からですけど、いかにもエピローグ的な爽やかさが若干上乗せされたように感じます。そしてこれもまた意外なフェードアウト。

15. Meteor−ミーティア− (Instrumental)
正確には DISC 2 ですがまとめちゃいました。
期待に違わず素晴らしいです。歌ものだったことを忘れそうなほど、インストとしてきっちり仕上げてきたナイスお仕事。近未来の荒れた惑星、なイメージが浮かんだのは、タイアップ先と関係あるのかどうか(観たことないに等しいので外れてるかも)。…いや、実はですね、オリジナル持ってないんですよ…いずれ買わなくては。
あと音とは無関係ですが、紙ジャケ裏に©とか品番とか「ご注意」とか全部入ってるのは何故でしょう。中古バラ売りに優しくしてどうするのかと。

総評:
大ちゃん的には DISC 2 で大満足。しかしそれだけの為に3500円はなぁ…と思ってましたが、さほど期待してなかった(ごめんなさい)本編の方も思いのほか好感触。個別に挙げると、03、06、07、12〜14辺りがわたしとしては評価高かったです。
ただ個人的には、「大胆なボーカルに繊細なサウンド」が TMR の魅力だと思ってきたもので、両方とも大胆にやっちゃうと、一歩間違えれば大味なだけになりかねないんで、毎回バンドサウンドだとちょっと飽きちゃうかもしれないなと思ったり思わなかったり。
ということで、今後このプロジェクトの明日はどっちなのか少々気にしつつ締めさせていただきます。

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