異邦人、香港に願う (17) 大館探訪

煮物で砂糖を結構使って、残り少ないから買おうかと思ったら、もう買ってあった。先日も醤油を結構使って、ほとんどないから以下同文。在庫切らして困るよりかはええんやけども、持ちすぎるのもアレやね。食品も日用品も、買い置きはほどほどに。
さて香港3日め、電車の合間に非鉄観光を挟む。

やってきたのは、中環のエスカレーターを上りきったところ。これもまた前回から持ち越した宿題。

大館という。おおだてじゃないよ。現地読みで「たいくん」。昨年春のオープン時には事前予約が推奨されるほど混雑が想定されていたこともあり、前回は目の前まで来ただけで寄らずじまい。今回はぶらり行っても大丈夫だった。

いかにも英国の香り漂う洋館がいくつも並ぶ敷地内。もともとは香港警察の本部があった場所で、19世紀後半頃から建てられたもの。今世紀に入って使われなくなっていたところを、観光用に全面リノベして今に至る。

地上階の片隅に、建物の歴史がわかるコーナーが設けられている。模型のライトアップと解説映像は、各棟の完成時期、増築とその後など、一見さんにもわかりやすい。

警察署の裏手にある施設が、観光コースとしては目玉であろう建物。ヴィクトリア監獄と呼ばれた、香港でもっとも歴史の古い刑務所。もちろんこれも現在は元の役目を終えており、室内の一部を見学することができる。

貸しスタジオなど用途を変えて提供されている箇所も多い中、かつての面影を色濃く残してあったのが B Hall。

3フロアにわたって、鉄格子つきの小さな部屋がずらり。壁の銘板なども現役の頃そのままに掛けてあったりする。

個室はとっても狭く、寝床もおよそ寝心地がよさそうには見えない。他にも質素な食事のメニュー例が紹介されていたり、当時貴重な水洗トイレは職員専用だったり。まあ昔の刑務所やしこんなもんやろと思う一方、供用末期に不法移民やボートピープルが収容されたというのは、これとはまた別の棟かもしれんね。

奥にもいくつか刑務所棟が並ぶ。遠目には煉瓦造りでしゃれて見えても、よくよく観れば本来の用途を物語る窓辺。

最奥部には、テイストの異なる現代的な建物が少々。歴史的建造物の合間に建つアートギャラリーは、香港ジョッキークラブ(JRA と同じような団体)の施設。同団体が社会貢献の一環として、今回のリノベに出資したようだ。
裏庭から引き返し、別ルートで入口方面へと向かう。

バルコニーを持つ奥の建物は監獄長の住まい、そして右手の風格ある建物は裁判所。あれもこれも近接することで、警察から刑務所までワンストップ運用されていたことがわかる。

敷地内は高低差がちょこちょこあり、各棟の構造や高さも少しずつ異なる。ぐるり1周するだけでも、ちょっとした散歩。

周囲ににょきにょきとビルが生える中、時代に取り残されていた一角。綺麗にされて生まれ変わって、香港らしい一面を今後も語り継ぐスポットになったんやね。

こうして小一時間の見学を終えた。中心部へと坂を下りていこう。

旧本部の脇を抜けていくと、荷李活道に面した一角は現役の交番だった。「警察の建物」としての役割は細々と続いている。

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