さっぽろ雪あそび (14) 帰路は戦場

それでは札幌旅ラスト、例のとんでもない最終日について。この件を踏まえて、冬に空港経由で旅するときにちょっとでも雪予報が出てたら電車を使うことを基本として考えたいと思います。はい。

朝、旦那さんに起こされたのは7時頃。東京の雪が当初予想よりヤバいらしい。
とりあえず、前夜に買っておいた朝食をとりつつ情報収集を試みる。しかし折悪しく、テレビ各局は開幕したばかりの五輪報道一色。あてもなくリモコンを操作していたら、キー局主導で雪の実況を始めたチャンネルがあった。市電みちゅバチ車でなにかと縁のあった UHB。CX 系列である。
無関係な立場なら「はいはいまた首都圏局がローカル天気を全国ネットで大袈裟に」と済ますところだが、今の我々にとっては家に帰れるかどうかの死活問題。ものすごく久方ぶりに、テレビが役に立った。

雪のピークは午後とのこと。では午前便で逃げ切りを図ろう。そそくさと宿を出て快速のデッキに飛び乗る。
既出の通り、今回使っていたのは JAL のダイナミックパッケージ。後から搭乗便を変更できないのが仕様。つまり、欠航の有無を問わず代替便は新たにお支払いが必要。それはこの際仕方ない。なにしろ雪まつり会期ど真ん中、延泊するにも宿がない。ターミナル難民になるよりは、飛ぶ便があるなら乗る方がまし。
とにかく羽田を目指そう。が、考えることは皆同じで、JAL 午前便は検索中に売り切れ。では ANA で、と試みるもなぜかうまくいかない。旦那さんのスマホが ANA のサイトと相性悪いのかも、と思い当たり、あいぽんでリトライ。

とれました。
定刻まで2時間に迫った便を、電車移動しながら座席指定つきで予約できるネット技術に感謝だ。

案の定、千歳は混乱の渦中。9時過ぎの時点で既に各社とも関東以遠の午後出発便は手続き中止されており、本来乗るはずだった17時の便も駄目であろうことは想像に難くない。
そんな中、わたしは ANA へ手荷物預け、旦那さんは JAL に問い合わせ。しかし JAL は電話が通じず、カウンター列に並んでもなかなか進まず。しかも並んでる最中に午後全便欠航が決定。いよいよもって進捗が滞り、ANA の保安検査通過時刻が迫ってきた我々はやむなく相談を放棄した。
検査を通過した先に待っていたのは、ちょっとしたサプライズだった。

えっ、B4? 搭乗便って 747 やったんかい!
前年のピカチュウでラストのはずだったジャンボに、まさかの乗り納め直しである。旦那さんは座席指定の時点で気づいていたようだが、所定 777 の ANA 56 便は雪まつり特需でスケールアップされていた。だからこそ当日滑り込みで取れるキャパがあったのかと納得。
それにつけても、悔しいほどのお天気。一眼を取り出す暇もなく搭乗列が形成され始めたので、間違いなくこれが最後となる「雪晴れの千歳にたたずむジャンボ」は自分の目に焼き付けておくことしかできなかった。

やや遅れての離陸。千歳を発つことはできた。しかしこれも条件付き運航、着陸不可能ならふりだしに戻される。我々にできるのは信じて託すことのみ。「テクノジャンボ」の引退を告げ、「快適なジャンボジェットの旅」と例の決め台詞を語る機長さんの声と、温かいコンソメスープが、はやる心をちょっとほぐす。
12時台前半、着陸態勢に入る。スクリーンに前面展望が投影される。真っ白な画面の中、初めておぼろげに見えた地上の物体は D 滑走路。その先に 34R の誘導灯がまばゆく走る。見えているのは空港手前の輪郭だけ。滑走路の終端すら判らない。いつも取り囲む東京の風景はどこにもない。
やがてタイヤ接地の軽い衝撃、そして力強い逆噴射。このスーパー悪条件で見事着陸を遂げたジャンボと機長さんに、サイレントで拍手を送った。

降り立った地上の窓辺には、とても見慣れた羽田とは思えぬ猛吹雪に包まれる2機の 747。

我々を運んでくれた 56 便は JA8960、そして同じく千歳から1本前に飛んできた JA8961。安定感ある飛行と余裕ある座席数で、無事に東京へ着くことができた。これがこの日最後の千歳羽田便だったようで、本当にギリギリの退却戦だったことになる。

ところで、千歳の JAL 窓口に何故並んだかというと、搭乗予定便を正式にキャンセルしたかったのである。そこを確認するためあえて1タミへ移動し、改めて尋ねると意外な結果が。どうやら、手荷物預けや保安検査通過などでチェックインされていない場合、ダイナミックパッケージの帰り便のことは放置でいいらしい。まあどうせ欠航だったからこれでよかったのね。
て、それならそうと千歳で教えてくれたらミク展示くらい観れたのにー。だいたいこの騒ぎがなければ最終日は雪ミク電車に乗ったり千歳でまったりするはずだったのだ。ぜんぶ雪のせいだ。

さて。羽田に着いただけでは帰宅とは言わない。自宅から空港まで車で来てしまったが、到底乗って帰れる状況ではないので車は駐車場に寝かせておき、電車が止まる前に移動することとした。
幸い京急はある程度動いており、タイミングよくエア急が来た。雪は激しくなる一方で、途中で行き先が新逗子から文庫になるという京急名物逝っとけダイヤも体験。あとは雪に強そうな地下鉄や、一応動いていたバスを使って、どうにか我が家に到着。慣れた自宅で食事や睡眠をとれる有り難みを噛みしめて、長い1日は終わった。
白銀に囲まれた自宅周辺の風景は、まるで札幌をそのまま持ち帰ってしまったかのようであった。しかし翌日の雪かきで前言撤回。雪質も環境も違いすぎる。雪があること前提のインフラと、終日マイナス気温が続く気候だからこそ、札幌は雪と共存できてるのね。首都圏民にはやっぱ無理。

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