電車王国の繚乱 (7) 友好なる証・1

あの、もう3月なんでもうちょっと暖かくなってもらえませんかね。寒いんすけど。やっぱり彼岸までは寒いのかと言ったら、そういう慣用句好きやねぇと旦那さんのツッコミ。まあ確かになんか口をついて出やすい語句はあると思う。
それはさておき、広島旅はここから2日目。

翌朝。見晴らしのいい最上階レストランでの朝食を済ませ、軽く休んでから出発。帰りの経路を考えて、大荷物はバスセンターに預け、そして向かったのは江波。

この日はなにか非公開のイベントがあったようで、中の人も忙しそう。

どうも LEX の試乗会だか見学会だか、そんな感じのことをやっていたっぽい。車庫前の道路の片隅に、年配の男性がたくさん並んで入場を待っていた。無関係の我々は、横からそっと編成記録。

でだ。ここからが本番。というのも、そもそも今回広島行きを決定した最大の理由がこれなので。

おぉきたきた。青空の下、ドイツ国旗を誇らしげに掲げて、営業運転の幕を表示して。

早速乗り込む。外見からのこぢんまりした印象とは対照的に窓が広く、かなりのワイドビュー感。

238 号。いわゆるハノーバー電車。

約4年前の車庫公開の際に、停車状態で展示されているところにはお目にかかっている。が、運転されるのは冬期の日祝のみ。しかも12月はクリスマス運用で、ふらりと寄った一般客は利用不可。純粋な営業運転状態の時に乗車するのは、この時期を狙って訪問しないと無理なのだ。

冬の営業運転は、1日につき横川〜江波間の2往復だけ。逆に言えば乗車時間もそう長くないので、木製椅子の硬さは気にならない。柔らかな陽射しを大いに取り込みつつ、電車は進む。

途中の電停で待っていた人たちの目の色が、この電車が来るとちょっと変わる。親子連れの場合はお子様が凄い勢いで食いつく。

ただ、この電車は PASPY 非対応(※余談だが自動両替機も稼働していない模様)。アレはしばらく来ないうちにさらに普及率が上がったようで、他車両では乗降の度に電子音が鳴りまくる。よって今回、ドアを開けた車掌さんが PASPY 不可を告げると次の電車を待つ人もちらほら。
ある親子はお子様の「これ乗りたいー」という要望もむなしく断念。が、別の親子は親が判断に悩んでいたところ、乗りたさ全開のお子様に向かって車掌さんが「乗りたいよね?」。ご乗車になりました。ただここまで別の電車に乗ってきたらしく、乗り継ぎ処理済の PASPY は横川で別車両のカードリーダーを使って降車処理された模様。なるほど。

そんなこんなで横川到着。折り返し時間をめいっぱい使って観察続行。

“Hannover grüßt Hiroshima” ってどういう意味かと思ってがんばってドイツ語調べたが、真ん中の単語は「ごあいさつ」的な感じ。結局和訳と大差なかった。そらそうやな。

このハンドル、運転士さんが操作すると反対側のもまったく同じ動きをする、と旦那さんが気づく。完全に連動してるんやね。へぇ。

ドイツ製ということもあって、普段の路面系車両では観ないタイプの足回り。車軸が車端でなく車両中央に2つ寄ってる形状だが、不思議と乗り心地に不安定感はなかった。

おっと、もう発車ですか。もう1往復は別の場所で撮るとしよう。また後でねー。

ピッコラたんと入れ違いに、ハノーバーは南へ向かっていった。

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