秋の欠片を求めて (1) 路地に沿う

今年の流行語が決まったらしいが、1番が4つもあるのはどうなんですかねぇ。どれか1つに絞るべき場合って、賞に限らずいろんな場面であると思うんだ。うん。
さて今回は、先月上旬にいつもと少しコースを変えて撮ってみた江ノ電を2回に分けて。

文化の日。鎌倉駅は相変わらず賑わっている。

恒例の終端飾りは、季節感あふれる草木に、収穫の喜びを添えて。しかしこの稲は随分黒いなーと思ったら、ホームの向こうに種明かしがあった。

そこで作った古代米のようだ。小道具はおにぎりやお茶まで用意され、はさ掛けや案山子は鉄道会社らしく遮断棒のリサイクル。しかも「へのへのもへじ」かと思いきや「えのえのでん」だった。なんという細かさ。

並んだ客でホームが埋まる頃、次の電車が到着。下がっている人はちゃんと下がっている。だがそうでない人も大抵いて、そんな人に向けて構内アナウンス「当たると痛いですよー」。いや痛いで済めばいいんですけどね。

ぎっしり詰まった電車を、さっさと降りたのは由比ケ浜。普段降りないエリアでの撮影、というのが今回の目的のひとつでもある。

早速踏切にひっかかる。踏切標識にもいろいろあるが、両数を気にしなければこのタイプは結構似てる気がする。

路地を分け入って、長谷との中間地点付近にある別の踏切へ。

辺りは閑静な住宅地。緑の向こうに緑の電車を狙う我々を、ご近所のわんこがじーっと眺めていた。

踏切本体は車1台通るのがやっと。蔦が覆う壁際の歩道もすれ違うのがやっと。まだまだ数えきれないほどの小道が、沿線にはいっぱいあるはず。

この界隈では、線路沿いに歩いていれば隣の駅に着くなんてことはないようだ。海の手前まで出たりまた入ったりしつつ、くねくねと歩いていくと、長谷の手前の踏切に着いた。

たまにこういう、住む人や店のこだわりを感じさせる建物に出会う。壁を伝う葉はまだ青いが、電車の幕の銀杏は黄色い。

ご近所にはこんなものも。それ塗り分け的に電車イメージですよね。電車に乗った状態では何度も通ってるはずなのに、今になっての新発見。

長谷からは稲村ケ崎までちょっとワープ。

上下すれ違いを終えた電車を見守る駅員さんは今日も頼もしい。
ここからはしばらく線路沿いに進める。少し行くと、ちょっとしたカーブに季節の演出を発見。この地点でしばらく粘ることになった。

理由のひとつは、手前と奥、両方のすすきをどう活かすか悩んだため。そしてもうひとつの理由は、振り返った場合の構図。

秋でも花は咲く。彩度の低い緑と茶褐色の世界に、淡黄色の群生が表情をつける。ただこれを写真としてまとめるには柵をどうにかフレームアウトする必要があり、2人してだいぶ苦心した。

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