実録・おひとり様物語 交流編 (7) 未来形スワンソング

必要以上に詳しく書いてきた博総祭りレポ、これでラスト。催し物に終日張り付くと、どうしてもこのボリュームになるんやな…と、てっぱくを思い出しつつ。

元 W2 の前に駆けつけると、ちょうど説明が始まったところだった。普通に連結器の話から入るのかと思いきや、つかみは500の魅力語り。今のところ唯一の西独自開発車両だけに、中の人の思い入れも違うのだろうか。
幸いマジ救援をされたことはないというこの車両を使って、実演をやってくれる乗務員の御三方(運転士さん&車掌さん)が紹介された。ではお願いします。救援連結器の出し方講座。


1:左右のボルトをはずす。

2:上下左右6ヶ所のツメを起こす。

3:上半分を持ち上げる。重いので3人がかり。

4:下半分のロックをはずす。

5:下半分もよっこらしょ。

6:はい、できあがりー。

こんな手間かかると思わんかった! 苗場で観た「蓋が自動開閉する『とき』」と違って、連結が日常茶飯事じゃないからこその方式だよな。

取り外された蓋部分。上下分離式だったのも、本体と違ってアルミハニカムではないのも今知った。床に置くと、まぐろのカマのように見えたのがおかしかった。
横に立っていた JR の人に、見知らぬ同業さんが話しかけている。話題が500だけに、どうしても気になる。
「今検査に入ってて(中略)座席も全部取っちゃってます」
あぁ、それは紛れもなく V 化改造工事…。余った中間車は廃棄という発言に「もったいない!!」と全力で返してみるのが関の山。ともあれ、この実演への抜擢は、W2 として最後の晴れ舞台をもらったんだという考え方もありだろう。やっぱり500は西にとって特別な車両だ。

これでほとんどのイベントを観たことになる。さすがに疲れが出てきた。屋外に用意された休憩コーナーで、ちょっとひと息。前日、コインロッカーを使うために買ったクッキーが、ここで役に立つ。
周辺はどちらを観ても人であふれていた。部品即売会とかがない分、往年の夏フェアよりは人少ないかな、と、さっきの JR の人が他の客と話していたが、それでも相当多くの人が押し寄せたことは確かだと思うんだ。


最後に、時間があったら寄ろうと思っていた歴史パネル展へ。実はここ食堂で、フロアの半分以上にテーブルと椅子が置かれていたが、既に営業は終了。大変まったりした空間になっていた。

高さ 2m くらいあるパネルが大人気。0系が原色ってことは、つい最近撮ったんやなぁ。広角レンズの引き延ばし効果を差し引いてもなお、500の細さが際立つ。

こんな感じで、車両ごとのパネル。他には全検風景の新旧比較(見事に全部、500と0系での対比)とか、博総全景の空撮と建設前のイメージ図とか。あと端の方で控えめに、新幹線以外も含めて西で取り組んでる安全対策のパネル(大半はアーバンの車内広告で観たことある)も。そして新幹線ホームにある非常停止スイッチのサンプル。

片隅でひそかに、0系の前面展望をメインにした DVD が上映されていた。目の前の椅子に空席があったので、思わず全部観てしまった。プレーヤーのそばに置いてあったパッケージからするに、市販物らしい。
エンディング映像が終わると、これにて上映終了との旨を係の人が告げた。外に出れば、敷地内に響く蛍の光。15:45。あぁ、もうすぐイベントが終わる頃だ。中庭を通り、S1 や T5 を遠目に眺めて、地下通路に入ろうとした、そのとき。
いつの間にか音楽が変わっていることに気づいた。
…これは…!
0系スペシャルサイトで公開された web 限定ムービーの、あの曲。無条件一般公開で0系がいる最後のイベントとなる、この日のエンディングテーマに、これ以上の選曲はない。

心憎い演出に感服しながら、ポスターはきちんと撮り、そしてゲートをくぐった。

いえいえ。こちらこそ、イベント復活してくれてありがとう!

博多南はあきれるほどカオスだった。お子様団体の列に間違って並びそうになったり、改札前の空間が完全に人で埋まるほどの混乱に巻き込まれたりしつつも、16:44臨時上りを待つ列にどうにかいい位置で並ぶことができた。
もし来年も開催するなら、南駅の人員整理は頑張ってほしいな。あ、あと運転台整理券の配布方法も。10時になって誘導される途中、今来たばっかりの人に相当割り込まれたよ。

ともあれ、西の皆様おつかれさまでした。

博多で荷物を出し、カフェに入ってものすごい勢いでパンケーキを食べて、再びホームに戻る。50A に乗って「500系のぞみで上下線制覇」を達成するため。えぇ、おうちに帰るまでがイベントです。

辺りは既に暗い。発車が迫る中、762A の0系をホームで迎えて(写真は失敗したが)、W7 の指定席に身体を沈めた。意外にもわたしがいた車両の乗客はさほど多くなく、広島までは隣が空席で横になって休憩できるほどだったが、自由席は大変混んでいるようだった。あふれた客が指定席デッキに来てたし。

こうして、新幹線とふれあいまくった週末は幕を閉じた。

新大阪で、ふと5号車を見上げた。翼型パンタは下げた時倒れるからカバーがへこんでるんやね。例えば、そんな推測が浮かぶのもイベントの効果。外見を愛でるだけじゃない、新幹線というシステムそのものに改めて関心を深める、素敵な祭りだったと思うよ。

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