都会にひそむ平行線 (1) 水色ひとり舞台

昨日。随分前から気になっていた路線を、やっと訪れてきた。家の用事の後やったんで駆け足になっちゃったけど、最低限の目的は果たせたかと。

その入口は、真昼なのに閉ざされている。

和田岬線。存在は知っていたけど、兵庫駅は普段通過するばかり。なんとなく、人知れずひっそりとしたもののように思っていた。

幸い、駅の間近にレンタサイクルがある。頭に入れてきた大雑把な地図を頼りに、いざ出発。

しばらく行くと、なんだかキュートな看板を備えた踏切。ここから少しだけ戻ったところに、撮れそうな場所があった。夕方最初の電車をここで迎え撃とう。
高架の向こうの踏切で、遮断機が下りる。

わ、本当に103だ…。いまどき神戸市内で国鉄世代の通勤車両が現役バリバリってのも、やけに新鮮。
ご覧の通り、お世辞にも好条件の絵ではない。カーブしている姿をなるべく長く撮ろうとした結果がこれ。つーか、ここ以南全部直線やし。

徒歩圏内なのに、ちゃりを使ったのには理由があった。ダッシュで戻れば次の電車に乗れるはず。実際、発車数分前にホーム到着。って入線に間に合っとらんし!

黒地に白で、このフォント。アーバンの行き先幕は大体これやね。

神戸線よりだいぶ低いホームに、人影はまばら。あとは車内にちらほらいる程度。と思ったら、次々立ち上がって改札に消えた。降りる人がくつろいどったんかい。

こうして空気輸送のできあがり。
あぁ、この窓。改造される前の環状線も、窓に角があったよな。学生の頃、神戸線各停の最古参は201だったんで、103はどうしても環状線のイメージになる。

ほどなく出発。カメラを脇に置き、ぼんやり車窓を眺め…る間もなく、もう到着。さ、さすが総距離 3km 未満。和田岬駅のホームが見えてくる。うわー人だらけー。夕方は帰宅需要が大半って本当やな。

とりあえず降りて、どうにか人波をやりすごすも、学生さんばかり来るわ来るわ。人が途切れた一瞬に、やけにかわいい駅名標をチェック。

3本構えのワイパーを眺めていたら、車掌さんがホームの装置に歩み寄った。え、もう? てか駅舎の方全然観てないっすよ! 詰めの甘さが出てしまった。ちゃりで駅を観に来るはずが間に合わず、「撮って乗る」を重視したら駅の観察ができなくなったわけで。要するにまた来いと。

電車はわずか5分で、大幅なかさ上げを物語るホームを後にした。


到着までの短い間、運転席後ろの窓を覗いた学生さんが「これ古すぎ」と語り合う。それでも、この路線にとっちゃ新車なんだよ。キハ使ってた時代も観てみたかったけど、快適度は今の方が上なんやろな。

たっぷり人を吐き出した水色の6両編成は、また空気を乗せて和田岬へと向かっていった。がんばれ103。ここでの活躍はきっとまだまだ長い。


しかし、無人駅でもない兵庫から「きっぷなし」で電車に乗るのは微妙に居心地悪かった。実にへんなシステムだが、改札外のエレベーターが103だと思えばいいのか。

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