萌黄の都にて (2) 地蔵たち念ず

蝉が鳴くのにも慣れてきた昨今、ふと思い出したので風鈴を出す。早速窓際に吊ってみたのだが、惜しむらくは本日まったく風がない。なさすぎる。逆に強風だったらしまわんといかんし、風流にするのも難しいねぇ。
さて本日も5月の京都嵐山方面から。

嵐山まで1駅移動し、バスに乗り換え。京都でバスに乗るのは珍しいかも。今回は行動範囲を考慮に入れて「京都・嵐山1dayパス」というものを利用したため、フリー範囲に含まれる京都バスの路線も使ってみた。

渡月橋をバスで渡り、観光客や修学旅行でスーパー混雑のメインストリートを抜けて、さらに進む。

周囲がすっかり静かな山間部になった頃、鳥居本というところで下車。

嵯峨鳥居本。例によってアレである。伝統的建造物群。

こちらの上地区は茅葺きが中心とのことで、確かにたいへん立派な屋根が目立つ。満腹でなければここで鮎でもいただいていくところだが。

瓦屋根が多い地区も後で歩くことになるが、こちらにもちらほら。

そんな町並みを歩いていると、途中で脇に階段が現れる。若干わかりづらいアクセス。理由は後で知って納得したが、それはさておき。

ここは「化野(あだしの)念仏寺」といって、空海とか法然とかいうレベルの由緒あるお寺。嵐山から徒歩で来れなくはないだろうけど、ちょっと遠いかな。

散在していた無縁仏がここに集められ、弔われているそうで。訪問プランを立てた旦那さんはもっとおどろおどろしい光景を想像していたようだが、実際歩いている分には穏やかで静かな空間に思われた。仏の皆様、落ち着く場所を得てほっとしたのかも。

圧巻だったのは中央にある西院の河原(灯籠で囲われたエリア内では撮禁のため、外から撮影)。塔に向かってずらりと整列した石は、ひとつひとつ形も大きさも色も異なる。人が個性を保ったまま石になって並んでいるような感覚。

竹林を登った先には普通に現役で使われているお墓もある。その傍らには六面体六地蔵尊と呼ばれるお地蔵様。場所が場所なのでカメラは遠慮しといたが、それぞれの面に意味があるとのことで、水をかけておまいり。

と、小さいながらも独特の雰囲気を持つ静かなお寺参りであった。

出口からまっすぐ、ゆるやかな階段を下る。上ってきたのは、踊り場の右に出ている階段。あ、もしかして我々は「脇道」から来たからわかりづらかっただけなのか。

どうやらそのようだ。階段の下に着いたら、寺の名を記した石柱がしっかり立っていた。こっちが表だったのね。

そのまま鳥居本の町並みを進む。さっき観た茅葺きのおうち、江戸の頃もほぼあんな感じだったんだろうな。

Like
Share

公開から30日以上経過した記事のコメントは締め切っております。あしからず。