或る小倉日記2007 (3) 生ける者の宿命

なんかもうびっくりするほど時間が足りません。やることも考えることも多すぎ。でもせめてこの話だけは今月中にきちんと出しておきたいので、やりますよ。眠い頭でソースと違ったこと書きたくないので大ちゃんネタは次回以降。

んで今回は…やっと八幡編。次かその次くらいにはツアー編に入れるはず。多分。

ふと携帯から顔を上げると、車は北九州都市高速の入口にさしかかっていた。長野 IC。なんて名前だ。小倉南区にそういう地名があることは承知だが、だがしかし。
ほんの一瞬、お出迎えされたような錯覚を覚える。

しばし進んだ後、住んでいた辺りを通る、と父。確かに、ナビはかつて4年半ほど住んでいた地域を表示していた。
高速沿いにあった中学。フェンスの隙間から一瞬、覚えのある校舎がのぞいた。決していい思い出は多くない学校だったが、それでも不思議と懐かしいものだ。
その地区を抜け、高速は北へ。下に走るモノレールは見えない。そして現れるのは川。紫川だ。あぁ、そうだ、高校入ってから自転車でよく、高速沿いの道をぶっとばして部活や遊びに通ったものだ。あのカラオケ屋はどこだろう。身に覚えのある景色が続く。
が、かつて見慣れた絵はそこまで。紫川 IC からは八幡方面へ向かうので、小倉が庭だったわたしには馴染みの薄い風景へと、徐々に切り替わってゆく。

黒崎 IC で降りると、祖父母の住む公団はさほど遠くない。何度か来たこともあり、車窓を過ぎる店を眺めているとなんとなく記憶が戻ってきた。コープの店、本屋、スーパー。そうそうそこも行ったよ。
そのスーパーの角を曲がると、ほどなく公団に到着。
此処に来るのも、そして祖父母に会うのも、およそ15年ぶりだろうか。部屋の中は以前来たときとほとんど変わらない。祖父母も一見、そこまで変わったように見えなかった。5月頃父が撮った写真を見せてもらっていたせいもあるかもしれないが、祖母の髪が少し減った以外は、わりとわたしの記憶に近いビジュアルだった。
が、内面まで含めてどうだったかは、このあと数時間でだんだん見えてくることになる。

くまにおやつをあげてからは、わたしとくまは比較的まったり過ごす。しかし、のんきにしていたわけではない。主に祖母を介護する両親を邪魔しないため、くまを隔離するという意味だった。
座っているだけではわからなかった、祖母の衰えぶり。
まず、容易には立てない。何の影響か、足が腫れてしまったためらしい。そして紙おむつ利用にもかかわらず、トイレをよく失敗するとか。どうもおむつが合ってないんじゃないかということで、父が買いに走る。他にも要るものがいっぱい。

ある程度落ち着くと、母は台所へ。父は祖父母と、引越に向けての打合せ。
そこで関西での病院の話になり、パソコンを取り出したら、くまが怒った。父はわたしに、くまをなんとかするよう指示。しかし、わたしだけで間が持つ状態ではなさげ。仕方ない。祖父の部屋のふすまを閉め、テレビで釣ることに。
なんとか作戦成功。小さなブラウン管は、のんきにサザエさんを映し出していた。
ふすまの向こうからは、なかなか持論を曲げない祖父と、言い聞かせようとする父の声。

ようやく話が終わって部屋を出たら、もう夕食の時間。くまに食べさせた後、大人は年越しそば。そば！　もう何年ぶりか判らない。そんな上等なものじゃないけど、やたら美味いよ。ぷはー。
と、舌鼓を打ったのも束の間。
祖母の様子がおかしい、と母。よく手元を観てみると、「気分が楽になる」とか言って突然ハルシオンを飲んでしまったらしい。うわぁ。今飲むべきとこじゃないのに。とりあえずもう今日は寝ましょう、えぇ。両親が祖母をベッドへ連れて行くのを、わたしはくまがちょろちょろしないように抱えて観ているのが精一杯だった。
西へ渡ったら、わたしも心を休めるだけでは済まない、ということか。それを思い知ったワンシーン。

12月31日 21:00 これからホテル入り
思ってたより深刻なんすけど(汗 特に祖母。関西行き＝介護生活、てのが身にしみましたよ。北九州の地名ナツカシスとか言ってる場合じゃねぇ…
そんな中、祖父宅の電話いじくってメモリオールクリアするくまorz 見張ってなかったママが悪うございました。はい。
いま車中。くま寝てる。帰って起きてたら風呂しような。

というわけで、なんとかかんとか大晦日の訪問は終了したのであった。
そう、くまがやってくれたのだよ。でも電話も電話だ。ボタンひとつ数秒押しっぱなしにしただけで登録内容クリアすんなよと。せめてクリアの確認くらいしろと。機能的に間違っている気がするぞ。